16 (2/4) 




◆◇◆◇◆

シャニ達と会えたせいか…安心しきっていたのか、いつの間にか寝てしまっていたみたいだった。だけど、あたしが目を覚ますとそこにいたはずのシャニとオルガの姿はなく…思わず、勢い良く起き上がる。



「おはよう。そんな焦らなくてもシャニとオルガは、無事だよ。もちろん、クロトもね」

「・・・ティキ」

「俺は、エルナの見張りを頼まれた感じ」

「・・・そっか。当たり前だけど、やっぱりまだ投薬してるんだね」

「うん。前より量も回数も増えたから、残り時間は後僅かだ。なのに薬の開発もまるで進展してないんだ。ごめん」



壁に寄り掛かったまま、すまなそうに薄く笑うティキにふるふると頭を振る。

元はといえば、あたしがヘマをしたからなのに。そのせいで、きっとティキは…責任を負わされて色々と酷い目に遭ったと思う。

あからさまに顔色が悪いティキにゆっくりと立ち上がり、近付くとティキが困った様に笑ってあたしを制止した。



「俺は、大丈夫だから安静にしてな。怪我も治ってないんだから」

「じゃあ、せめてここに座って。ティキも顔色が悪いし、調子良くないんでしょ? 」

「はははっ、参ったな。これじゃあエルナには、隠し事は出来ないなぁ」

「隠し事なんてしないでよ」

「それはそれとして。よく帰って来たね…本当によかった」

「えっ…うん。あ、それでね! ティキには言いたい事がたくさんあったの!!」

「ん? 何かあったの?」



ゆっくりとあたしの隣に座りながら、あたしの頭を軽く撫でるティキの顔色が思ったより悪くて不安になりつつも、アークエンジェルであった事を話した。

そしてキラと考えた試薬のメモを取り出して、ティキに渡した。

最初は、アークエンジェルに逃げる事はティキにも話さないであたしだけで実行しようかと思ってたんだけど、どう考えても…ティキの目から逃れられる気がしなかったので、ちゃんと話した。

もちろん、反対される可能性もあったけど…仮に反対されてもあたしの気持ちは、変わらないから。



「ははは…まさか、そんな事になってるなんてね。 そっか、投薬の話もしちゃったんだね」

「・・・ご、ごめんなさい」

「いや、怒ってる訳じゃなくてさ。辛かっただろうなって…オルガ達の事、ちゃんと説明したんだろ?」

「・・・うん」

「でもそのお蔭で心強い味方が出来たんだな。ありがとうな」

「反対しないの?」

「反対する理由がないよ。俺は、エルナ達がここから出られる可能性があるなら、なんだってやるよ」



そう一切の迷いもなく言い切ったティキは、にこりと笑いながら小さく首を傾げた。

その様子を見て、やっぱりティキには言わなければよかったかもしれないと後悔をした。



.


- 2 -


BACK | NEXT

[ back to top ]