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「…本当に俺で良かったのか?」
「…はい。本当ならあたし1人でよかったくらいですから…アスランさんは怪我もしてるのに」
「…いや、それは構わないが。それと…あの話、ディアッカに聞かれていたみたいだ」
「…そう、ですか。それでもなく嫌なお願いをしたのに…すみません」
「いや…承諾したのは俺の意思だ。それにキラとディアッカにはこれ以上…背負わせたくはない」
「…ありがとうございます」
通信会話でアスランさんと会話をしつつ、数時間前の事を思い出す。
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ラクスさんやアスランさんが加わり話し合い後、あたしはすぐにマリューさんの元へと行き…月基地に帰してくれる様に頼んだ。
みんなが自分のやれる事をやると覚悟をして、戦う事を決めたのに…あたしはここでは何も出来ないから。そして何度も何度も頭を下げて、やっとマリューさんが折れてくれた。
すぐに準備をしてくれるという事で…みんなにも一応言わなきゃならなかったんだけど、キラとディアッカには言わないで欲しいとお願いした。
そしてすぐにあたしは、アスランさんの元へと向かった。その時にカガリさんと話していて、悪いと思いつつも…時間が無い上に宇宙服にも着替えなきゃだったのであたしの部屋に連れて来た。
「…俺に何か用か?」
「まずは、おかえりなさい。怪我は…してるみたいですけど、無事でよかったです」
「あ、あぁ…」
「時間が無いので…簡単にお話ししますね。あたし、これから月基地に帰るんですけど…その前にお願いしたい事があるんです」
「俺に?」
「…はい。地球連合軍のパイロットが投薬されているのは知ってると思います。だから、もし…あたしが見境もなく攻撃をする様になっていたら真っ先に殺して下さい」
こんな事を頼まれてすんなりと頷く様な人は、普通いないだろう。だけど、頼めるのはアスランさんだけだと思ったから…無理を承知で頭を下げた。
今は、投薬されてなくても…月基地に戻ったらどうなるかわからないから。あたしがもし投薬されてしまったら、もう…どうにもならないから。
だから、それなら…殺して欲しい。もちろん、そうなったらシャニ達を助ける事は出来なくなってしまうけど…。
「…わかった。通信に応じなかった場合、完全に敵として相手をするよ」
「っ、ありがとうございます」
「だけど、投薬される可能性があるのか?」
「まだわかりません。だけど、されないという確証もないので…」
「…そうか。無事に戻って来てくれる事を願っているよ」
その後、マリューさんがあたしを呼びに来て途中までシャトルを護衛するって話になって…その場にいたアスランさんがあたしの気持ちを察してくれて、アスランさんが送る事になったという感じだ。
ディアッカ…怒ってるかな。
キラは、最後に会えたけど…ディアッカにはさよなら言えなかったし。でもアスランさんとの会話を聞いてて…会いに来なかったって事は、わかってくれたのかな…なんて都合の良いことを考えていた。
アスランとの別れ際
(ここからは、自動で月基地まで行ける)
(はい。ありがとうございました)
(…キラやディアッカの為にも戻って来てくれ)
(はい。頑張ります)
(ただ、俺は帰ったら怒られそうだな)
(ごめんなさい。無理を言ってしまって)
(いや、こっちこそ…何も出来なっ…)
(それは言わないで下さい)
(だが、…)
(あたしだって同じですから)
(君とは、もう少し話したかったな…)
(では、またの機会に…という事で)
(あぁ…じゃあ気を付けてな)
(っ、ありがとうっ…ございました)
※キラ達との別れ
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