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とても不思議な気分だ。
エルナとは、会って間もないはずなのに…どうしてこんなにも一緒にいると落ち着くんだろう。
僕が守ってあげなきゃって思ってたはずなのに…
"あたしがキラを守るから"
その純粋で真っ直ぐなエルナの言葉だけで…どれだけ心が救われたか、わからない。
だから、僕もエルナを守るよ。僕に弱くてもいいって…泣いていいって…、一緒に泣いてくれたエルナだから。
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その数時間後、まさかの反逆者として連行され掛けていたアスランを救出したラクスがエターナルで合流した。
そしてコーディネイターとナチュラルの区別もなく…ザフト軍や地球連合軍の戦争をやめさせる為に独立部隊として僕等は、戦う事を決めた。
そしてずっと気丈に振る舞っていたラクスが父を亡くしたと涙を流した。やっぱり、女の子の涙は見ていて辛くなる。
早くこんな戦争は終わらせなくきゃならない。
そして静かに僕の腕の中で泣いているラクスの頭を撫でていると少しいいかしら…とマリューさんの声がして、ゆっくりとラクスの様子を伺うと大丈夫ですわ…と涙を拭うとゆっくりと僕から離れた。
「大丈夫です」
「エルナさんの事なんだけど…月基地に帰す事にしたわ」
「…エルナが言ったんですね」
「えぇ…自分にはここで出来る事はないからと。急だけど…すぐに出る事になったわ」
「ラクス…ごめん。ちょっと行ってくるね」
「…私も一緒に行ってもいいですか?」
「うん。じゃあ行こうか」
話し合いの時にあの場にエルナもいたけど、ずっと険しい顔をしたままだったから…もしかしたらと思ってたけど、やっぱりエルナは優しい子だね。
そしてラクスと一緒に格納庫に向かうとそこには、既に宇宙服に着替えたエルナがシャトルに乗り込むところだった。
「エルナッ!!」
「っ…キラ」
「どうして僕に黙って行こうとしたの?」
「…ごめん。キラの顔を見たら決心が鈍りそうだったから…。でも、もう大丈夫!だから、行ってくるね」
「…途中までは俺が送るから安心しろ、キラ」
「…アスランが?だったら、僕がっ…」
「…キラ。キラは、ラクスさんに付いててあげなきゃ。ちゃんとキラが守ってあげなきゃダメだよ!」
そう言いながらじゃあね。と軽く手を振りながら目を細めて笑ったエルナに胸が締め付けられた。
まさか、初めて見たエルナの笑顔が別れの時だなんて…思いもしなかったよ。
そしてエルナを乗せたシャトルはアスランのジャスティスと共に格納庫から出ていった。
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