そしてキラは、ゆっくりと今までにあった事をあたしに話してくれた。
時折、辛そうな顔をするキラに無理して話さなくてもいいよと言ったが、それでもキラは話すのをやめなかった。
キラは、あたしなんかよりもずっと…ずっと苦しい思いをして…ここまで戦って来たんだと改めて思った。
「だから、僕はエルナが思ってる程…優しくなんてないんだ。弱くて卑怯で…」
「そんな、事…ない。だって、今もキラは苦しんでるじゃない…だけど、それをみんなに見せない様にっ…」
「…うん、言わないで」
「なっ…キ、キラ?」
「強い自分を見せてないと…ダメになっちゃいそうで。ごめん、やっぱり僕は弱いんだ」
苦しそうな声でそう言いながらあたしを抱き締めるキラにあたしが泣きそうになる。
ずっと…ずっと…キラは、1人で苦しんでたからこそ…きっと泣けないんだ。強くならなきゃ、強くいなくちゃ…ってみんなを守る為にと自分を犠牲にして。
そんなキラがあたしなんかにそんな話すのも辛い話をしてくれたんだから…あたしが言える事は1つしかない。
「…弱くてもいいんだよ。それに泣いてばっかりのあたしが言うのも変だけど…辛いなら泣いていいんだよ」
「っ、エルナ、僕は…」
「…うん、誰もキラを守ってくれなかったんだよね」
「僕にしか出来ない事だから…みんなに守って当たり前だろって言われてる気分で…」
「…うん。ずっと1人で辛かったよね」
・・・悲しい。
こんなに辛くて苦しんで、守るだけ守って…自分を守ってくれる人はいないなんて。ずっと…1人で泣く暇もなく…戦ってたんだね。
微かに震えるキラの肩をソッと包む様に腕を回すとあたしを抱き締める力が少し強まって、キラの嗚咽が聞こえて来てあたしまで泣きたくなった。
今でもシャニ達の元へすぐにでも帰りたいのに、キラとはもう戦いたくない。いや、戦えない。
だって、シャニ達とはまた違うけど…あたしなりにキラを守ってあげたい。
「頼りないけど…あたしがキラを守るから」
「…エルナ?」
「地球連合軍に戻ったら…また敵になって、戦うかもしれない。だけど、あたしはキラも守りたい」
「ふふっ…無茶苦茶な事を言うね」
「えと…キラとは、戦うけど…あたしが守るから。キラは、死なない」
「…ふふっ、ありがとう」
・・・大丈夫。
シャニ達もキラも…あたしが絶対に守るから。キラがあたしを信じて、シャニ達を討たなかった様に…あたしもキラが守って来た物も守ってあげたい。
これで地球連合軍に戻って、一番最初にする事は決まった。きっと、あたしにしか出来ない事で…失敗する可能性の方が高い。
だけど、それでも…あたしも覚悟しなきゃ…何も守れないから。もう…何も知らないまま、戦いたくないから。
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