重たい足取りで待機所に行くと相変わらず3人は、いつも通り過ごしていた。
オルガは読書中でクロトはゲーム夢中でシャニは音楽聴きながら睡眠中…そこにエルナがいないだけ。
それにしても今日は、比較的安定してるのか喧嘩もしてないみたいでよかった。でもまぁ、一発触発だから気を付けなきゃなんだけど。
「アズラエルから命令が入った」
「…あぁ?」
「まーた訓練?」
「とりあえず、クロトはゲーム止めて。はい、シャニも音楽止めて起きて」
「…なに?」
「…チッ、どうせまたロクでもねぇ命令なんだろ?」
アズラエルという名前にあからさまに嫌な顔をするオルガと、もう諦めているのか特に気にした様子がないクロトはチラリと俺を見るとまたゲーム機を叩き始める。
そしてそんな中、未だにイヤホンとアイマスクを着けたままソファーで寝ているシャニをゆっくりと起こす。
寝起きで不機嫌そうなシャニに起こしてごめんな?と軽く頭を撫でると相変わらず無表情だが小さく頷く。
最近わかったのは、シャニとクロトはなにかと気難しいが優しく接すれば比較的素直にいうことを利いてくれる事だ。特にシャニは下手に刺激しなければ大人しいしな。
「で、命令ってなんだよ?」
「俺等にレーヴデトワールの起動テストをして欲しいんだって」
「…はぁ?」
「…アレはエルナのでしょ!なんで僕等がそんな事しなきゃなんない訳?」
「詳しくは俺もわからないけど、エルナの為みたいだよ」
「…チッ、起動テストすりゃあいいだけなんだろ?ならさっさと済ませるぜ」
さすがに嫌だとは言わないけど、レーヴデトワールはエルナの専用機だから気に掛かるというか複雑そうな表情をしているオルガとクロトだったがエルナの為だと聞くと渋々といった感じで立ち上がった。
確かに、後でやるよりも今の内にやっちゃった方が楽かな。まぁ、宇宙に上がってからもなにかと調整させられそうだけど。
そしてずっと黙っているシャニを見ると相変わらず無表情でボーッとしてて、シャニも行くよと声を掛けるとゆっくりと立ち上がった。
「…エルナ、帰って来るの?」
「アズラエルはそう言ってたけど、確かじゃないよ」
「…ふーん」
「気になる?」
「もう死んでるかもしれないんでしょ?」
「まぁ…そうだね。MIAって事になってるから」
「でも機体が大破してるの見てないし、死んでるって言われてもよくわからない」
抑揚のない声でそう呟くシャニは、スタスタと部屋から出ていった。
オルガやクロトは、結構ショックを受けたみたいだけど…シャニはエルナがいなくなってから特に変わってない。
まぁ、実感が湧かないだけみたいだけど。
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