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結局、あたしは知ってる事を全て話した。助けて欲しかったから…あの場所からシャニ達を早く解放してあげたかったから。
…そして未だに慣れない部屋で膝を抱えてシャニ達の事を思い出す。
きっと…あたしのせいでみんなは、今も苦しい思いをしてる。特にティキはあたし達をまとめる役だったから…余計に責任を感じてると思う。
…みんな大丈夫かな。また薬の量を増やされたりしてないかな…喧嘩したりしてないかな…
考え出したらキリがなくてギュッと膝を抱える力が強くなる。その度、ズキリと痛む傷口がまた憎くて…また涙が出そうになった。
そして溢れ出しそうな涙を必死に堪えていると不意にノックが聞こえてゆっくりと顔を上げると返事をする前にドアが開いた。
「エルナ入るぜ」
部屋に入って来たのはディアッカだった。
「調子はどうだ?」
「大丈夫」
「嘘付け。暴れたせいで腹の傷口がっつり開いたって聞いたぜ?」
「こんな怪我大した事なっ…いた!!」
「やっぱりいてぇんじゃねぇか!」
「そりゃ傷口叩かれたら痛いよ!ディアッカのバカ!」
「ハハッ、そうそう。エルナは、そうやって元気でなきゃ」
ベッドの上で膝を抱えていたあたしの横腹を軽く叩くディアッカに怒るとケラケラと笑いながらあたしの頭を撫でた。
そういえば、ザフト軍領地で一緒にいた時もよくこうやってディアッカにちょっかい出されてた気がする。そんなディアッカにイザークがいつも罰としてお茶出しとか買い出しとか押し付けてたっけ。
…あぁ、なんでかな。
やっぱりあたしには敵とか味方とかよくわからないよ。一緒に笑えるのに…戦いたくないのに、戦わないといけない。
「昨日、艦長さんから話聞いたんだろ?きっとここなら大丈夫だ。つっても、俺も捕虜なんだけどよ」
「ディアッカはなんで捕虜に?」
「まぁ、エルナと似たようなもん。大怪我して助けられたみたいな」
「そうなんだ。ここの人達は本当に凄いね」
「そうだな、今もお前の心配してるヤツばっかりだぜ?俺ん時とは大違い!」
ディアッカの言葉に痛むお腹の擦りながらゆっくりと立ち上がる。それを見てディアッカがおいおい!と止めに入るが大丈夫と答える。
あたしなんて…心配される立場の人間じゃないのに。きっとあたしは、オーブでここの人達の大切なものを奪った。なのに…そんなあたしの言葉を信じてくれた。
…大丈夫、大丈夫。
ズキズキと傷口が痛むのを我慢して急にどうした!?と言わんばかりの顔をしているディアッカに向き直る。
「あたし、ちゃんとお礼が言いたい。無理じゃなかったらブリッジに連れてって欲しい」
あたしと同じ捕虜のディアッカに頼むのはおかしい気がするけど…それでもあたしは、ディアッカに頭を下げた。
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