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あの後、エルナは気を失う様に寝てしまった。

しかもかなり激しく暴れたせいで腹部の傷が開いたみたいで僕の服にまで血が滲んでいた。



「…思ったより思い詰めてたみてぇだな」

「…うん」

「あいつと初めて会ったのってザフト軍領地でさ…そん時に両手いっぱいに医学書やら薬学書やら抱えててよ…。大切な人が病気だからって必死に勉強してたんだよ」



ギュッと拳を握るディアッカは険しい顔をすると、寝ているエルナを見つめてこんな形で再会するなんてホントに最悪だぜ…と頭を抱えた。

エルナの話を信じていなかった訳じゃないけど、ディアッカの話にエルナが嘘を付いていなかったんだと改めて思った。

そしてさすがにあの状態のエルナに、マリューさんやアスランに事情を話さない訳にいかなくて…エルナに悪いけど全てを話した。

その結果、マリューさんは信じられないと言わんばかりの顔をしてたし…アスランは黙ったままだったけど顔を歪めていた。


―――
――――
―――――


そして次にエルナが目を覚ましたのは、暫く経ってからだった。



「…っ、あたし…」

「目覚めた?」

「キラ…。あたし…ごめんなさい」

「ううん、落ち着いたみたいでよかった」

「…っ、助けてくれてっ…ありがとう」



目を覚ましたエルナは、ゆっくりと体を起こすと目を伏せたまま僕に頭を下げるとギュッと布団を掴みながら微かに震えていて、まだ頭の中が整理が出来てないみたいだった。

自分の気持ちとか周りの気持ちとかがバラバラで…思うようにいかなくて、どうしていいかわからないんだと思う。

ゆっくりとエルナの手に触れるとビクリと肩を揺らしながら顔を上げた。

大丈夫…僕にもその気持ちが痛い程わかるから。



「怖がらないで…大丈夫だから」

「…っ、ごめんなさい」

「謝らなくていいんだよ。エルナは悪くないんだから」

「でも…あたしは、オーブを攻めて…キラやディアッカを攻撃した」

「でも命令だったんでしょ?逆らったらエルナの大切な人達がっ…」

「違うの。本当はあたしの出撃はなかった…でも早く終わらせたくて無理して出撃したの。早くオーブが墜ちれば…って」



何も何も考えてなかった…とうつ向いたままのエルナが自分を責めるように呟く。

…優しい子。

…エルナが言った何も知りたくない、聞きたくない、優しくしないでという言葉はきっとエルナの本心だと思う。

色々と知ってしまえば決心が鈍るから…きっと優しいエルナはまともに戦えなくなってしまう。

結果、オーブを攻めた事を僕やディアッカを攻撃した事をこうして悔やんでしまっている。そしてそんなんじゃ大切な人を守れないと自分を責める。

…どうして、こんな子がと素直に思った。




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