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そしてエルナ乗せた、アークエンジェルは無事にオーブから脱出し、宇宙へと飛び立った。



「…キラ、どこに行くんだ?」

「アスラン…。エルナのところだよ。脱出したらちゃんと話そうって約束したんだ」

「…あのストライクダガーに乗っていた子か。でもどうして…」

「ごめんね、アスラン。僕さ、あの子を死なせたくないって思ったんだ」

「しかし…目を覚ましたら報告をするんじゃなかったのか?それに今は、ディアッカがいるんじゃ…」

「…マリューさん達には、後で僕から話すつもりだよ。それとディアッカとエルナ…知り合いだったみたいなんだ」

「なっ…!?」

「…だから余計に放って置けないんだ」



ずっと戦ってる時から違和感があった。動きは、完全にコーディネーターと同等なもので…コックピットを狙わない様に戦っていたのがやたらと目についた。

それに僕やアスランと戦ってる時もコックピットを狙っていれば、僕かアスランを落とせたはずなのに…決して狙わなかった。

その上、仲間を守る為とはいえ…なんの躊躇もなくアスランの攻撃に飛び込んで行った。

さすがにあの時は、ビックリした。もちろん、一番ビックリしたのはアスランだと思うけど…


それで…生存者の救護をしている時に彼女を保護した。頭を強く打っていたみたいで意識がなかったけど命に別状はないみたいだったからみんなで交代で彼女の様子を見る事になった。

その時に彼女がナチュラルだってわかったんだけど…正直驚いた。

そして僕の番の時に目を覚ました。僕を警戒する彼女は、淡々としていてなんだか悲しかった。

だけど、徐々に彼女の表情が曇っていった。そしてディアッカが現れてからの彼女の動揺っぷりは、凄かった。

今まで冷静に話していた彼女は、いなくて…感情的になった彼女は涙を流しながら必死に僕等になにかを伝えようとしていた。



「…入るよ?」

「…あぁ、キラか。ご苦労さん」

「うん。エルナは、寝てるの…?」

「…あぁ。色々と疲れたんだろ…怪我もしてるしな。で、エルナの代わりと言っちゃなんだが…エルナから聞いた話聞くか?」

「…大丈夫なの?」

「キラにも話すつもりって言ってたから問題ねぇだろ」

「そう…じゃあお願いするね」



エルナがいる部屋に戻るとエルナは、寝ていた。あからさまに赤く腫れている目元に少しだけ胸が痛んだ。

そしてディアッカの話を聞いて、僕は更に胸が痛める事になった。




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