…話してしまった。
もう本当にあたしは、なにをしてるんだろう。これじゃ、今までキラに話さなかった意味がないじゃないか。
「…殺して。もう情報はなにも持ってないから」
「…なにを言って」
「…情報を持たない捕虜は用なしでしょ?」
あたしが笑顔で頭を傾げるとディアッカとキラが悲しそうに顔を俯かせる。
だが、その瞬間に警報が鳴り響き2人が一斉に顔を上げる。
そしてあたしもベッドから出るが、すぐにディアッカに止められた。
「お前は、安静にしてろって!」
「シャニ達が来るんでしょ!?だったら!」
「だからって出れないだろ!そんな体で無理すんな!」
「でも!」
「…大丈夫。エルナの大切な人を撃ったりしないよ」
「そんな事…!」
キラが出るのは、わかった。
だけど、だからってシャニ達を撃たないで戦うなんてそんなのわからないじゃない。
シャニ達は、シャニ達だけは…
殺させないっ!
あたしの肩を掴んでいたディアッカを突き飛ばして、この部屋から出て行こうとしているキラに飛び掛かる。
「…うわっ!」
「ダメ!あたしは、あたしはどうなってもいいから…シャニ達だけは!」
「…エルナ。大丈夫だよ」
「・・・っ!」
「…ここから脱出したらちゃんと話そう。だから…ね?エルナ」
「…エルナ、キラを信じろ。俺もエルナを信じるからよ」
信じるもなにも…あたしは、捕まってる身だし…。
そんなあたしにキラは、大丈夫だからと言うと部屋から出て行った。もう訳がわからなくて、どうしたらいいかわからなくてあたしは、ズルズルとその場に座り込んだ。
少しでも動かすと痛む体がヤケに悔しくてまた涙が出そうになり、グッと堪える。
「あたし…捕虜なんでしょ?なのに、なんで…ディアッカもキラも…そんな事言うの」
「…エルナ。実は、俺も捕虜の身なんだ。お前の知って通り俺は、ザフトのパイロットだ。けど、ここは地球連合軍の艦なんだぜ」
「…地球連合軍?なら、なんで…あたし達と戦ってるの?同じ地球連合軍じゃない」
「さぁ?詳しくは、俺にだってわからないさ。ただ、戦う理由があったんだろ…」
「…そう。ここの人達は、あたし達の軍がオーブを攻めるのに反対だったんだね」
なにも知らないから。なにも教えて貰えないから。
攻められる側の気持ちも、攻める側の気持ちもよくわからない。
ただ、シャニ達を守りたくて…それだけの為にあたしは戦っただけだから。
そしてまた自分の無力さと無知さが悔しくて、遂に涙が溢れた。
(…ごめん。あたし、なにも…)
(…謝るなよ。これは戦争なんだ)
(わかってる…わかってるけど)
(それにお前には、守りたいもんがあるんだろ)
(…うん、死んでも守りたい)
(みんな、なにかの為に戦ってんだよ)
(…うん、そうだよね)
(だけど、お前には…やっぱり向いてねぇよ)
(ディアッカ…)
(クソッ…なんでお前が…)
※ディアッカと最悪な再会
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