・・・んっ、あれ?
あたし、寝てたんだっけ?
ゆっくりと瞼を開けたあたしは、知らない天井にガバッと体を起こすが全身に激痛が走り思わず自分の体を抱き締めた。
「…起きた?」
「・・・ッ!?」
「あんまり動かない方がいいよ。半日、目を覚まさなかったくらいだから…」
突然の声に思わず構えるが体が痛くてすぐに力が入らなくなる。そしてそんなあたしに声を掛けたのは、気の優しそうな男の子だった。
……あたし、捕まったのか。
自分が生きていた事にもビックリだけど、殺されずに手当てまでされている事にビックリだ。
だけど、捕まった以上は生きていても意味はない。むしろ、殺された方がよかったかもしれない。
心配そうな顔をしてあたしを見ている彼だけど、本当はあたしから情報を聞き出そうとしているだけかもしれない。
これから拷問されるのかもしれない。そんな事を考えていると男の子がゆっくりとなにかをあたしに差し出した。
「…な、に」
「…これ、君のパイロットスーツに入ってたって」
「・・・・」
「一応、確認するけど…君、ピンクのストライクダガーに乗ってた子だよね?」
「だったらなに」
「…なんで君は、パイロットになったの?」
彼から渡されたのは、クロトがあたしの部屋に残していった"ありがと"と一言だけ書かれたメモだった。
そのメモを見つめながら、みんなの事を思い出す。きっと4人は大丈夫だ…ティキがいたし。
そんな事を考えていると唐突な質問をされた。やっぱり、情報を聞き出そうとしているんだろうか。
でもパイロットになった理由なんて大した情報にもならないだろう。
「大切な人達を救う為」
「…そのメモの人?」
「そうだよ」
「…君が守ったパイロット?」
「・・・・・」
あぁ、なるほど。
どっちかわからないけど、彼はあの白いのと赤いののどちらかのパイロットだったのか。
じゃなきゃ、あたしがクロトを庇った事を知ってるはずがない。まぁ、近くで見ていただけかも知れないけど。
そしてなにも答えないあたしに悲しそう顔をする彼に思わず目を反らす。
「君は、1度もコックピットを狙ってなかったよね」
「・・・・・」
「…理由を教えてくれる?」
「…そんなの殺したくないからに決まってるじゃん。綺麗事だけど、戦えなくすればいいだけならコックピットなんて狙わなくてもいい」
まぁ、そんな甘い事を言っていた結果がこの様なんだけど。最初からコックピットを狙っていたら…と考えると悔しくて甘い事を考えていた自分に腹が立った。
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