そしてあたしは無事に訓練を終えて、アズラエルさんに言われた通りに新型の起動テストを行った。
いつも訓練で扱ってるストライクダガーと全然違うMSだったけど、不思議と難しいとかはなくて…むしろ、自分の思うように反応してくれて驚くくらい動かしやすかった。
「…さ、さすがはアガレス少尉!このMSを意図も簡単に操れるのはアガレス少尉くらいですよ!」
「…そ、そうなんですか?」
「そうですよ!他の者でも試してみたんですが、全くダメでしたからね!」
「まさかここまで空間認識能力が長けているとは!あんな動きが出来るのはエルナ少尉だけですよ!」
「は、はぁ…」
「まさにアガレス少尉専用機ですよ!なんと素晴らしい!!!」
何故か興奮気味で話し掛けてくる人達に少し引きながらも適当に相槌をうっていた。
このMSは、レーヴデトワールと言うらしい。適当に話を聞き流しながら、レーヴデトワールを見上げていると不意に頭に違和感を感じて振り向くと、あたしと色違いのパイロットスーツに身を包んだティキが立っていた。
「訓練と起動テストお疲れ様」
「…ティキ」
「オルガ達がエルナの事を探してるから呼びに来たんだ」
「あたしを?」
「明日の事じゃない?アズラエルに出るって言ったんだって?」
「うん。あたしだけ見てるだけなんて嫌だし、やれる事はしたいから」
「まぁ、エルナらしいけど。ほら、じゃあ行くよ」
「うん。あ、起動テストありがとうございました」
相変わらず、訳のわからない話で盛り上がっている人達に頭を下げてあたしはティキと一緒にその場を後にした。
そしてティキに案内されたのは、パイロット専用の待機部屋だった。あたし達は昨日この艦に来たんだけど、やっぱり前にいた施設に比べると狭く感じる。
そしてあたしが部屋に来るなり、クロトが飛び付いてきて危うく後ろに転びそうになるがティキが支えてくれた。
「エルナッ!明日、出るって本気なの!?なに考えてんの!」
「ったく…お前は、出なくていいって言われてんだから大人しくしとけって話だ」
「俺、なにもしなくていいって言ったよね」
「ちょ、オルガ痛いよ!本で叩く事ないじゃん。シャ、シャニもそんな睨まないでよ!」
「まぁまぁ、エルナはオルガ達が心配なんだって」
「そ、そうだよ!」
「…なにそれウザーイ」
「お前にだけは心配されたくねぇな」
「てか、それ僕等のセリフだし」
最近は、シャニ達は薬に身体が慣れてきたせいか暴れたりしなくなった。だけど、その代わりに禁断症状が出るようになって定期的に摂取しなければならなくなった。
それをあたしがなにも知らないと思っている3人とアズラエルさんは必死に隠している。
だからティキが色々とフォローを出来る様にとよくオルガ達と一緒にいる様になった。
そしてあたしは、見事に3人に怒られた訳だけど…気にしたら負けなので断固として出る事を譲らなかった。
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