2日前にアズラエルさんが帰って来てから、あたしはやたらと部屋から出る事が出来なくてティキが時間がある時に部屋に来てくれる様になった。
あからさまに研究室にあたしが行くのは怪しいし。それにあたし達が研究室に通ってる事や色々な試薬を作っているのを秘密にしてくれているどころか、色々と手引きしてくれている研究員の人達にまでなにかあったら困る。
それでもなく個人研究室を貸してくれているのに…そんな事がアズラエルさんにバレたら何をされるかわからない。
なのであたしは部屋で成分や分量等を調べて、ティキがそれを作るといった感じだ。でもティキは、試薬をすぐに自分で試してしまうので心配で仕方がない。
そんな事を考えながら日課の訓練をしに向かっていると前方からアズラエルさんが歩いて来てゆっくりと頭を下げる。
「やぁ、エルナ。今から訓練かい?ちゃんと時間通りで偉いね」
「はい」
「それであっちで説明されるだろうけど、今日は訓練の後に新型の起動テストをするからそのつもりでね」
「…新型ですか?」
「エルナ専用機と言った方がわかりやすいかな。開発途中だった奴を急遽エルナに合わせて作り直したんだよ」
「あたし専用機…ですか?」
「うん。でもまだ調整中だから、明日はストライクダガーに乗ってもらう事になっちゃうけどね」
アズラエルさんの明日と言う言葉に自然と顔が歪む。昨日、アズラエルさんに説明されたが…まだ実感が湧かない。
明日、あたし達はオーブを落とす。理由なんて知らないし、知ったところで覚悟が揺らいでしまうので聞いてないけど…やっぱり出来る事ならそんな事はしたくない。
だけど、シャニ達に拒否権はなくて…出撃するのは決まってた。そんなあたしにアズラエルさんは、出るか出ないかはエルナが決めていいと笑顔で言った。
そんなの出るに決まってる。シャニ達が戦場に出るならあたしだって出る。
「あ、でもそのストライクダガーはエルナ専用にしといたからね」
「…ありがとうございます」
「エルナには、期待してるからね。でも性能は普通のとあんまり変わらないから無茶しない様にね」
「はい」
「それにしても…別に明日は、エルナは出なくてもいいんだよ?たかが、オーブだし」
「いえ…実戦を積んだ方が今後の為になるので」
「ふふ、頼もしいねぇ。まぁ、エルナの出撃は様子で…だけどね?」
…それも昨日聞いた。
ティキが教えてくれたけど、明日はあたし以外の4人の性能を確認するのが目的らしくて、あたしを出撃させるつもりはないってアズラエルさんは言ってたらしい。
なら、なんであたしに出るか出ないかを聞いたかって話になるんだけど…別にどうでもいいや。
あたしが出たいと言えば、出させてくれるみたいだし。
「じゃあ僕はもう行くけど、訓練と新型の起動テスト頑張ってね」
「はい」
「なにかあれば、誰かに言うんだよ?」
「はい、わかりました」
「じゃあまたね」
アズラエルさんは、ニコリと笑みを浮かべて軽く手を振るとその場から去っていった。
その後ろ姿に頭を下げてからあたしは、訓練をしにシュミレーションルームに向かった。
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