だけど、シャニ達本人に聞く訳にはいかない。特にシャニには、これ以上精神的に負担を掛けたくない。
そしてあたしの腕の中でいつの間にか寝ているシャニの髪を撫でる。薬の副作用で心身共にかなり負担が掛かっているんだと思う。
ゆっくりとシャニをベットに寝かせてから部屋を後にした。
そしてあたしは、オルガの部屋に向かう。多分だけど、冷静に話が出来るのがオルガしかいないと思うから。
ノックをするとオルガが部屋の扉を開け、あたしを見るなり悲しそうに笑うと中に入る様に言ってくれた。
「クロトは?」
「問題ねぇよ。今頃、ゲームでもしてんだろ。それよりシャニはどうした?」
「…ん、今は落ち着いて寝てる」
「…そうか。なんもされなかったか?」
「それは大丈夫。それより、なにがあったの?」
「・・・・いや、」
オルガは、バツが悪そうに目を反らすと黙ってしまう。あたしがなにも知らないと思っているからどう説明しようか悩んでるんだろう。
…やっぱりダメだ。
オルガもきっとあたしが全てを知ってるとわかったら更に精神的に負担が掛けてしまいそうだ。それでもなく、シャニやクロトに比べて冷静な判断が出来るせいできっと今だって色々考えていると思うし。
「…まぁ、元からシャニとクロトはよく喧嘩してたもんね。とりあえず、クロトも大丈夫みたいだからあたし戻るね?」
「…あぁ。なんつーか、帰って来て早々悪かったな」
「ううん、大丈夫だよ」
「…ごめんな」
「…っ、なんでオルガが謝るの?気にしてないよ。じゃあまた後でね」
悲しそうな顔をしてあたしに謝るオルガに涙が出そうになって、急いで部屋から出た。
あの"ごめんな"には色々な意味が含まれているのをあたしはわかってるから。
だからこそ辛い。
そして我慢していた涙が溢れて来て、急いで自分の部屋に向かった。しかし、あたしの部屋の前の壁に寄り掛かりながらあたしを見つめる人物が目に入った。
「泣いてるの?」
「…っ、なんでいるの」
「エルナが気になったから。俺が忠告した意味、わかった?」
「・・・・・」
「忠告を聞いとけばよかったって、後悔とかしてる?」
「後悔はしてないよ。あたしがみんなを助けるから…」
「…へぇ、じゃあちょっと話さない?エルナの力になってあげる」
ティキは、あたしの言葉に一瞬驚いた様な顔をしたがすぐに優しく笑いあたしの手を取り、そのまま歩き出した。
(ど、どこに行くの?)
(ん?俺の部屋だよ)
(え、どうして!?)
(ん〜色々と説明しやすいから?)
(なにを説明するの?)
(まぁ、来ればわかるって)
(・・・・・)
(そんな警戒しなくてもいいのに)
(だ、だって…あたし達、そんなに話した事ないし…)
(じゃあこれから話せばいいよ)
(…そ、そういう問題なのかな)
(うん、そうだよ)
※荒ぶる三馬鹿
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