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部屋に入るとシャニは、ベッドの上で膝を抱えてこちらを睨んでいた。

まるで、野良猫みたいだ。

警戒心丸出しで身を守ろうとあたしの動きを見ている感じ。元々、シャニはあんまり人に心を許すタイプではないので、最初にシャニと孤児院で会った時も睨まれた事を思い出した。



「シャニ?」

「・・・・・」

「どうしたの?」

「…どうせエルナも俺を怒るんだろ」

「あたしは怒らないよ。だから、大丈夫」



……なんだろう。
なにかに怯えてるような、子供みたいなシャニに少しだけ戸惑いながらゆっくりと近付くとビクリと反応する。

あたしが怖いのだろうか…。

シャニに近付くのをやめて様子を窺いながらどうしようかと考える。

多分、薬のせいで頭が混乱しているんだとは思うけど…まだ鎮静薬とかは作れてないから…



「シャニはあたしが怖い?」

「エルナは…エルナは、怖くない」

「じゃあなんでそんなに警戒してるの?」

「わからない、わからないけど…俺、またエルナになんかしそうだから…やだ」

「…大丈夫だよ。だからそんなに怯えないで」

「わからない…全部ウザいんだよ!クロトもオルガもみんな、みんな!」



頭が痛むのか頭を抱えながらそう言い放つシャニに胸が痛くなる。

…確か、シャニは一番精神的に負担が掛かっていて精神の破綻が一番進んでいると記録にもあった。

これがその証拠だ。

なにかに怯えているかと思えば、あたしになにかをしてしまいそうだと悲しそうな顔をして、かと思えば全てがウザいと怒り出す。

情緒不安定というレベルじゃない。

頭を抱えて唸っているシャニに近付いて、前と同じ様に優しく抱き締める。嫌がられてまた首を絞められるかもしれない…だけど、それでもこんな状態のシャニを放っておけなかった。



「…大丈夫。シャニはシャニだから…だから落ち着いて」

「……うっ…あ゙ぁっ…」

「…ごめんね。今はなにも出来ないけど、絶対にあたしが助けるからっ…」

「……エルナっ…エルナっ…」

「…うん、あたしはここにいるよ」



子供の様に助けを請うようにあたしの名前を呼び続けるシャニに涙が出そうになる。

このままじゃ、本当にシャニが壊れてしまう。辛そうなのに、いつもと変わらない音声なのがまたシャニが壊れていっている証拠なんだろう。

あたしがいない間になにがあったんだろう。普通に考えたら、ただ3日間ザフト軍領地で過ごして来てくれだなんておかしな話だし…あたしがいない間にアズラエルさんがシャニ達になにかをしたのは明らかだった。




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