あの日以来、イザークさん改めイザークはなにかとホテルを訪れる事が増えた。
と言っても、3日間だけだけど。ディアッカも一緒に来た時もあったけど、いつもイザークと言い合いしてただけな気がする。
「あーあ、エルナは明日プラントに戻るのかぁ〜。寂しくなるぜ」
「…アハハ」
「ふん、見送りは出来んぞ」
「俺等も明日から忙しくなるしなぁ。でも、やっと動けるぜ」
「それで少しは、成果はあったのか?プラントにいるんだろう、その知り合いは」
「うん。大体は、理解出来たから後は色々と試行錯誤してみるつもりだよ」
イザークの知識は凄かった。もちろん、医学書や医薬書の知識も全部頭に叩き込んだけど。
これは、持ち帰れないから棄てなくちゃ。アズラエルさんにバレる訳にはいかないし。
それにしても…イザーク達にあたしが地球連合軍の人間だって知られたらどうなるのかな。敵だって言われて殺されるのかな。
度々、ナチュラルって言葉を聞いたし…しかもあからさまに嫌ってるみたいだったからきっと…敵だと認識されてしまうだろう。
それがなんだか悲しくて胸が苦しくなる。
でもあたしは、シャニ達の為にも戻らなくちゃならない。あたしが…みんなを助けなくちゃ。
「また落ち着いたら会いたいな!」
「うん、そうだね」
「だからそんな泣きそうな顔すんな!俺等が絶対にプラントだけは守るからよ!」
「ふん、当たり前だ」
「・・・・う、ん」
あぁ…そっか。そうだよね。
ずっとおかしいと思ったんだ。コーディネーターの人達は知識もあるし、あたし達ナチュラルに比べると全てが勝ってるって聞いてたけど…イザークの知識量は、ちょっとおかしかったもん。
そしてプラントを守る宣言。
あたしは、この2人がザフト軍のMSパイロットなんだと確信した。
酷い話だよね。
ごめんね…きっと次に会う時は、あたし達敵同士だよ。だから、あたしは出来れば会いたくないよ。
だけど、2人がプラントを守りたいと思ってるのと同じ様にあたしにだって守りたい者がある。
あたし以上にシャニ達には、時間がない。だから戦争を早く終わらせなければならない…それが例え、目の前にいるイザークやディアッカと対峙する事になったとしても。
そしてあたしは、複雑な気持ちのまま2人と別れを告げ、翌日には逃げるようにして地球連合軍の施設に帰還した。
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