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痛む頭を押さえながらゆっくりと顔を上げると、相変わらず心配そうな顔をしてエルナが俺を見つめていた。

そしてその瞬間、エルナが俺を包み込むように抱き締めた。一瞬、なにをされたのかわからなかった。



「シャニがなんでそんな悲しそうな顔してるのかわからないけど…あたしは、シャニ達とずっと一緒にいるから」

「…エルナは、ホントバカだよね。なんでエルナが泣いてんの」

「あたしは、シャニの代わりに泣いてんのっ…」

「はっ、うっざ…でもありがと」



グズグズと泣きながらぎゅうっと俺を抱き締めるエルナに何故か笑みが溢れる。なんだか酷く懐かしく思える。

そしてウザいくらいの頭痛は、いつの間にか鎮まっていて…なんだかエルナのおかげなのかななんてバカな事を考えていた。

いつもそうだった。

クロトはエルナにべったりで…オルガもエルナをなにかと気に掛けてて、俺はそれをただ見てるだけ。

そんな俺のところに来てエルナは、いつも笑顔でシャニも一緒!だなんて言ってよく振り回された。

いつも俺を見てくれた。

最初は、構うなって言っても付いてくるし、すぐ泣くし…ホントウザくてしょうがなかった。それが今じゃ、エルナが居なきゃ不安になるくらいだもんな。

ホント、バッカみたい。



「エルナは、なんもしなくていい」

「え?なんで?」

「うるさい」

「うぅ、理不尽」

「いいから言うこと聞けよ」

「アズラエルさんに命令されなければなにもしないよ…それにあたしなんてどうせ役に立たないし」



・・・・・。

あぁ、そういう。あのおっさんマジでウザい。エルナになんも話してないんだ。

俺等なんかよりも優秀だって事も、あれに乗ってなにさせるつもりなのかも。

俺等の薬の事も…ホントになんにもエルナは知らないんだね。そりゃあ、そうだよね。俺等は、命令聞かなきゃ苦しい思いする上にエルナにも投薬するって言われてるんだもんね。

ん?でもアレ?なんかよくわかんなくなってきた。



「シャニ?」

「なに」

「あのね、精神的に不安定って…なにかあったの?」

「…別に。環境の変化に疲れてただけ」

「…そう?ならいいんだけど、無理しないでね?」

「しないってば」

「シャニは、そう言っていつも無理するじゃん!」

「あぁ、もう!うるさいなぁ!しないってば!」



こういうところも相変わらずウザい。だけど、やっぱりエルナだからかな…別にいっかとか思えるのは。




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