あの日、オルガがあたしの部屋に来る事はなかった。つまり、シャニの状態が良くならなかったという事だろう。
あたしは、アズラエルさんに指示された通りにMSによるシュミレーション訓練をしていた。
正直、MSの事はよく知らないけど何故か自然と操れる自分に驚きつつも、この訓練を終えればシャニ達に会っていいとアズラエルさんに言われたから頑張っていた。
それにしても…軍についてはほとんどわからないけど、地球の平和を守る為にこれに乗ってあたし達が戦うのかな。
そしてそんな事を考えながら訓練を終えたあたしは、シャワーを終えてシャニ達いつもいる部屋に向かっていた。
「エルナ?」
「…クロト?」
「…っエルナ!会いたかった!」
「うわぁっ!」
「…エルナ、訓練してたの?」
「え、あっ…うん。さっき終わったの。だからみんなに会いに行こうとしてたの」
不意に聞こえた声に振り返るとそこには、元気のないクロトがいた。そしてあたしを見るなり抱き付いてきて少しだけビックリする。
そしてあたしの言葉に眉を潜めるクロトに頭を傾げる。
それにしてもクロトもオルガと同じで変わって無さそうで安心した。
「変な物飲まされたりしてない!?なんかされてない!?」
「え?な、なにもされてないよ?」
「そ、そっか。ならいいんだ」
「う、うん?クロトは、なにしてたの?」
「なんもしてない。今日は、訓練なかったから」
「そうなんだ?じゃあシャニとオルガは待機部屋じゃなくて自分の部屋にいるかな?」
「さぁ、いるんじゃない?2人のところに行くの?」
相変わらず、あたしに張り付いたままのクロトにコクりと頷くとまたしても悲しそうな顔をしてうつ向いた。
でもなんでそんな顔をするのかがわからなくてあたしは、頭を傾げる。
もしかして、オルガとシャニと喧嘩でもしたんだろうか。クロトは、なにかとシャニと喧嘩してたし…オルガもたまに大人気ないからなぁ。
「オルガんところには、行かない方がいい」
「え?」
「オルガ、今日体調悪くてずっと寝てんだよね。バカだよなー」
「そうなの?」
「うん、だからやめた方がいい。シャニは…まぁ、大丈夫だと思うけど」
「クロトは大丈夫なの?」
「僕は、もう落ち着いたから…って全然大丈夫だってーの!じゃ、ゲームの続きやらなきゃだから!」
「あ、ちょっと!」
そしてあたしから逃げるように走っていってしまったクロトに更に頭を傾げる。
なんだかよくわからないけど…シャニもクロトもオルガもみんな変な気がする。
そんな事を思いながら、あたしは体調が悪いオルガが心配になりつつもクロトに行かない方がいいと言われたのでシャニの部屋へと向かった。
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