あぁ〜やっと帰れる。
遠征から帰って来たと思ったら、着く前に駆り出されるとか本当にふざけてるよね。
「あの、あなたは?」
「え、あぁ〜ごめんごめん。東北支部所属、鳴神沙羅。遠征からの帰りだったんだけど、S級が現れたって事で急遽駆り出された感じ」
「俺は、幸村精市です。助けていただき、ありがとうございました」
「いいよ、別に。じゃあ、あたしは先に帰投するから」
「ちょ、ちょっと待てよぃ!」
特にここにいる理由もないし、さっさと休みたいのでB地点に向かおうとしたら腕を掴まれた。
うーん、君はさっきまで黒髪の子と一緒にぶっ倒れた子だね。ちゃんと治癒して貰ったんだね、元気そうで何よりだよ。
だが、その手を放したまえ。
ニコリと笑いながら反対の手で彼の腕を捻り上げると、大袈裟に痛がりパッと手を放した。
「あ、ごめんね。思わず」
「…あんた、なんなんスか」
「やめろ、赤也!俺等は、助けて貰ったんだぞ」
「…別に頼んでねぇッスよ」
「うん、そうだね。頼んで来たのは、齋藤だからね。まぁ、なんか言いたい事があるみたいだけど、残念ながらあたしは聞く気ないから。じゃ」
「あ、あの」
「じゃあね〜」
あたしは、休みたいんだ。
こんなところで油を売っている暇はないんだよ。遠征の帰りだって言っただろうが、聞いてなかったのかよ。
ヒラヒラと手を振り、逃げる様にB地点まで走った。
赤髪の彼と黒髪の彼は、なかなか好戦的だったなぁ。ありゃあ、下手したらすぐ死ぬな。
その反面、スキンヘッドの彼と幸村と名乗ったリーダーはなかなか冷静で有望だな。
とりあえず、後でさぶと月に何か奢らせよう。よく考えたら、この辺にいたって事は普通にあいつ等の管轄だろうし。
そもそも、新人だけのチームで出させるなよって話だけどな。マジでブラックだよな、東北支部って。
そんな事を思いながら、待機させていたヘリに乗り込みさっさと帰投した。
そして帰投するなり齋藤がギャーギャーと騒ぎ立てたので、無視して自室に向かった。
あいつ、本当にうるさい。ていうか、あれが上層部とか終わってる。黒部と入道のおっさんも頭おかしいし。
やっぱり、東北支部って糞だわ。
まだ中部支部の方がマシなレベルだよね。まぁ、あそこもあそこで上層部は頭おかしいけど。やっぱり、西南支部が一番まともだな。だから、西南地域には黒禍が全然出ないのかもしれんな。
そんな事を考えながら自室に向かい、着くなりベッドに倒れ込むようにしてあたしは眠りについた。
(幸村くん、本当にさっきのやつが?)
(あぁ。一瞬だったよ)
(幸村先輩が防戦一方だったやつッスよ?)
(俺の方なんか蹴り1発でダウンさせたぞ)
(やっぱり、あの有名な人だろうね)
(唯一の女隊員で特Sっていう?)
(そう。まず、纏ってるオーラ量が異常だったし)
(放出量も凄かったよな)
(は?マジで?)
(お前等は、見てねぇからな)
(そんなやべぇ人なんスか?)
(いや、詳しくは知らないよ)
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