01*3 



あぁ〜やっと帰れる。

遠征から帰って来たと思ったら、着く前に駆り出されるとか本当にふざけてるよね。



「あの、あなたは?」

「え、あぁ〜ごめんごめん。東北支部所属、鳴神沙羅。遠征からの帰りだったんだけど、S級が現れたって事で急遽駆り出された感じ」

「俺は、幸村精市です。助けていただき、ありがとうございました」

「いいよ、別に。じゃあ、あたしは先に帰投するから」

「ちょ、ちょっと待てよぃ!」



特にここにいる理由もないし、さっさと休みたいのでB地点に向かおうとしたら腕を掴まれた。

うーん、君はさっきまで黒髪の子と一緒にぶっ倒れた子だね。ちゃんと治癒して貰ったんだね、元気そうで何よりだよ。

だが、その手を放したまえ。

ニコリと笑いながら反対の手で彼の腕を捻り上げると、大袈裟に痛がりパッと手を放した。



「あ、ごめんね。思わず」

「…あんた、なんなんスか」

「やめろ、赤也!俺等は、助けて貰ったんだぞ」

「…別に頼んでねぇッスよ」

「うん、そうだね。頼んで来たのは、齋藤だからね。まぁ、なんか言いたい事があるみたいだけど、残念ながらあたしは聞く気ないから。じゃ」

「あ、あの」

「じゃあね〜」



あたしは、休みたいんだ。

こんなところで油を売っている暇はないんだよ。遠征の帰りだって言っただろうが、聞いてなかったのかよ。

ヒラヒラと手を振り、逃げる様にB地点まで走った。

赤髪の彼と黒髪の彼は、なかなか好戦的だったなぁ。ありゃあ、下手したらすぐ死ぬな。

その反面、スキンヘッドの彼と幸村と名乗ったリーダーはなかなか冷静で有望だな。


とりあえず、後でさぶと月に何か奢らせよう。よく考えたら、この辺にいたって事は普通にあいつ等の管轄だろうし。


そもそも、新人だけのチームで出させるなよって話だけどな。マジでブラックだよな、東北支部って。

そんな事を思いながら、待機させていたヘリに乗り込みさっさと帰投した。


そして帰投するなり齋藤がギャーギャーと騒ぎ立てたので、無視して自室に向かった。

あいつ、本当にうるさい。ていうか、あれが上層部とか終わってる。黒部と入道のおっさんも頭おかしいし。

やっぱり、東北支部って糞だわ。

まだ中部支部の方がマシなレベルだよね。まぁ、あそこもあそこで上層部は頭おかしいけど。やっぱり、西南支部が一番まともだな。だから、西南地域には黒禍が全然出ないのかもしれんな。

そんな事を考えながら自室に向かい、着くなりベッドに倒れ込むようにしてあたしは眠りについた。



(幸村くん、本当にさっきのやつが?)
(あぁ。一瞬だったよ)
(幸村先輩が防戦一方だったやつッスよ?)
(俺の方なんか蹴り1発でダウンさせたぞ)
(やっぱり、あの有名な人だろうね)
(唯一の女隊員で特Sっていう?)
(そう。まず、纏ってるオーラ量が異常だったし)
(放出量も凄かったよな)
(は?マジで?)
(お前等は、見てねぇからな)
(そんなやべぇ人なんスか?)
(いや、詳しくは知らないよ)

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