01*2 



へぇ、S級が相手なのにそれなりに対処出来てるねぇ。このチームのリーダーなんだろうけど、判断能力はかなり高いみたいだねぇ。

ほーん…確かに、死なせるには惜しいな。

・・・少し本気出すか。


「ったく、帰って来て早々災難だな」


オーラを集中させて一気に放出させる。そして、そのままS級に向かって地を蹴り…拳を黒禍に叩きつけた。

やっぱり硬いな。でも、まぁ…全然余裕だな。

それにしても、突然あたしが現れた事に驚いている様子だったけど冷静でいる辺り、本当に優秀な新人の様だ。

とりあえず、あたしの拳により凄い勢いで壁に叩き付けられた黒禍がゆっくりと起き上がるのが見えたので、そのまま素早く近付きコアがあるであろう場所目掛けて脚を降り下ろした。


それと同時にパリンッとガラスが割れる様な音がすると黒禍は、霧の様にして消えた。

ふぅ…前に戦った事があった黒禍でよかった。コアの位置も把握してたお陰で、最短で消滅させられたし。


ゆっくりとオーラを放出を緩めると、ずっとザーザーとうるさかった通信機から声が聞こえた。



「"もしもーし!もしもーし!?聞こえてるかい!?"」

「うっせぇ!聞こえてるわ!」

「"ジャミングが解消されたって事は…ご苦労様!さすが沙羅ちゃん、早いねぇ"」

「ターゲット消滅。チームは無事だよ、多分。人数は?」

「"4人だよ!いるかい?"」

「ん〜…いるいる。2人怪我したみたいだけど、大した事ないし」



チラリとさっきA級と対峙していた3人を見ると治癒が終わったのか、ゆっくりとこちらに向かって来ていた。

そして決して軽いとは言えない怪我をしている目の前の彼は、あたしの通話が終わるのを待っているのか静かに佇んでいる。

うーん、治癒で間に合うか微妙なラインだなぁ。仕方ないなぁ…運が悪かっただけだし、この子等に非はないからね。



「君、ちょっとこっち来て」

「…えっ、はい」

「で、迎えは?あたしは、B地点に待機させてるけど」

「"まだ帰れないんだ。2チームいるって言っただろう?帰投ヘリは別なんだけど、そっちがかなり苦戦してるみたいでね"」

「はぁ?なんでそっちのエリア情報を送んなかったんだよ!」

「"いやぁ〜毛利くん達が近くにいたから、大丈夫かなって。あ、連絡来たよ〜"」

「あ、あの…ありがとうございます」

「ん?あぁ、別にいいよ。つーか、さぶがいるなら月もいるじゃねぇか!あいつ等が二手に別れればよかったじゃん!」



通話をしながら、怪我を治す為に再生能力を使ったんだけど、さすがにそこまで酷くなかったから楽で終わってたの気付かなかったわ。

そして相変わらず、とんちんかんな事を言ってる齋藤に苛つきつつ、帰投の許可が出たのでさっさと帰る事にした。

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