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俺等はつい先日、正式に東北支部の隊員として配属された。

元から訓練は受けてたし、それなりに実戦経験もあった。それに今までの任務も苦労なくこなせていた。だから…初めてS級の黒禍に遭遇して、自分達が自惚れていたんだと実感した。

正直、特A級とは比べ物にならない程の力の差があった。S級の相手を出来る人材が、少ないと言われている理由が嫌でもわかった。

そんな相手とは、知らずに突っ込んだ丸井と赤也が即やれた。その上、通信機は繋がらず、ターゲットだったA級の黒禍まで現れて、正直ここで死ぬかもしれないと思った。


A級をジャッカルに任せて、俺がS級の相手をしていた。だけど、相手をしていたと言っても防戦一方でほとんど何も出来ずにいた。


そんな時だった、急に現れたオーラの反応…そして気が付いた時には、目にも止まらぬ速さで女の人が黒禍を殴り飛ばした。

そして、一瞬の迷いもなく壁に叩き付けられ、ゆっくりと起き上がろうとしている黒禍に容赦なく脚を降り下ろし、コアを破壊し消滅させた。

まさに一瞬だった。

そんな彼女は、名前を名乗ると不機嫌そうに足早に帰投してしまった。

正直、もう少し話をしたかったんだけど…さすがに丸井が腕を捻り上げられた手前、引き留める勇気はなかった。


そして、どうやら真田達の方にもS級が出たらしいが俺等と同じ様に増援が来たらしく、みんな無事だった。


その人達と一緒に帰投した真田達と支部のロビーでやっと顔を合わせる事が出来て、安心した。



「みんな、無事みたいでよかった」

「あぁ、幸村達も無事で何よりだ」

「お前等の救援に来たん沙羅だったんやろ?そら、無事やろなぁ〜あいつ別格やし。ねっ、月さん?」

「うむ」

「はい、一瞬でした。その沙羅さんについて、教えて貰えませんか?」

「沙羅について?本人に聞いた方が早いで、多分」

「ははは〜みんな無事で何よりだよ。それと沙羅ちゃんと話したいなら、今日はやめといた方がいいよ。あれでも彼女、かなり疲れてるから」



齋藤さんがひょこっと顔を出すように笑いながら、そんな事を言った。それにしても、突然現れたS級の黒禍について、何も言わないのが不思議だ。

というか、もう少し申し訳なさそうな態度とかあるよね。俺等は、A級だけだって聞いてたのに。

だけど、そんなのはお構い無しと言わんばかりに次の任務について話すとじゃあ頼んだよ〜なんて言いながら去って行った。

基本的に俺等には、休みはないらしい。

東北支部に来てまだ1週間程しか経ってないが、この支部が色々と酷い事がわかった。



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