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とりあえず、なんだかよくわからないけど逃げる様に走って行った仁王と丸井の背を頭を傾げながら見つめていると、後ろから肩を掴まれてゆっくりと振り返る。
「なまえせんぱい!」
「あ、おはよ。切原くん」
「おはよーッス!って、丸井先輩と仁王先輩は!?」
「え、あぁ…なんか走って逃げていったけど」
「まぁ、見えてたんスけどね!」
走って来たせいなのか、はたまた朝練のせいなのか、うっすらと汗を滲ませながら笑う切原くんが眩しい。
仁王と丸井と関わる様になって、自然と切原くんとも顔を合わせる回数が増えてそれなりに話す間柄になった。
それでも学年は違うし、そんなに頻繁に顔を合わせてはないけどね。
「なまえせんぱいって結構、朝ゆっくりなんスね!」
「いつもはもう少し早いんだけど、今日はちょっと寝坊しちゃってね」
「寝坊ッスか?」
「うん。友達が誕生日会を開いてくれたんだけど、ちょっと夜更かしし過ぎて」
「えっ!?なまえせんぱい、誕生日だったんスか!?」
「え、うん。昨日ね」
まさかの2度目の説明に自分で、なんでこんな事を説明してるんだろうと思いつつも聞かれたのだから仕方ない。
というか、切原くんは仁王と丸井に用があったんじゃないのかな。こんなところで呑気にあたしと話してていいのかと心配になってきた。
しかも、何故か切原くんが凄い驚いた顔をしてるんだけど、なんでなんだろう。
え?あたしの後ろになんかいるとか?
何かいるのかとゆっくりと振り向くが特に誰もいないし、なにもない。
「どうかした?」
「なまえせんぱいの誕生日…」
「え、うん?」
「丸井先輩達になにか貰ったりしたんスか?」
「まぁ、一応?」
「えっ、なに貰ったんスか!?」
「丸井からは駄菓子を少し貰って、仁王からは何故かビー玉貰ったよ」
正直、誕生日プレゼントなのか不明な物だけど…誕生日だろ?って言われて渡されたから、多分プレゼントなんだと思う。
丸井からの駄菓子はまだわかるけど、仁王のビー玉はわりと本気で意味がわからなかった。まぁ、さすがに要らないとは言えないから貰ってジュエリーボックスに入れといた。
それにプレゼントをくれたって事よりも誕生日を覚えててくれたのが嬉しかったからね。
そんな事を考えている内にチャイムが鳴ってしまい、切原くんに手を振って教室へ走った。
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