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カタンッと椅子が動く音がして若が前を向いたのだとわかった。これでいいんだもん。

若なんか知らない。
あたしだって嫌いになるもん。
意地悪ばっかり言うし、たまにしか優しくないし。すぐ睨むし…いいところなんてない。

そう思えば思うほど辛いのは、やっぱりあたしが若を好きだからなんだろうか。もう笑えるよね、嫌われてるってわかってるのにこんなに好きなんだもんなぁ。


そんな事を考えているとトンッと何かが腕に当たり、プリントでも回ってきたのかと恐る恐る顔を上げると机の上にちょこんと小さな紙切れが乗っていた。

誰?と頭を傾げながらも紙切れを手に取る。

ちなみにあたしの前は、若でその隣がともだちなので普通に考えたらともだちが励ましの言葉でも綴ってくれたんだろう。

あ、あたしの隣は特に仲良い訳でもない普通の男の子です。


そして紙切れを開いて目を通す。

バッと顔を上げるて若を見れば、いつもと変わらず真面目に授業を聞いているフリをしていた。もちろん、ノートは録っているけど上の空だ。

意味がわからなかった。

紙切れを書いて机に置いたのは、若だったのだ。


"嫌うとかそんなんじゃない。変な勘違いすんな。むしろ、その逆でずっと好きだった"


…色々と突っ込みたい。

なんかもう…頭がパンクしそうなんですけど。若が手紙をくれた事だとか…ずっと好きだったとか…もう意味がわからない。

また、これも若のイタズラなんじゃないの?あぁ…絶対そうだ。ラブレターなんて貰って生意気だ、その気にさせてからかってやろう。とでも思ってるに違いない。

なんて酷いやつなんだ。

一瞬どころか、かなり喜んだと言うか…泣く程嬉しかったのに今じゃ、違う意味で泣きそうだ。


結果的にあたしは、そのまま机に突っ伏したままちょっとだけ泣いた。返事も書いてない。


そして休み時間になり若がいなくなったらしく、ともだちがため息を吐きながらあたしの頭を撫でている。もちろん、あたしは顔を上げていない。



「日吉から手紙貰ったのに返事しないの?あいつ、ソワソワしてたけど」

「…知らない」

「まぁ、なまえの気持ちは痛い程わかるけどね〜。でもなんかごめんって何回も書いては丸めて〜ってやってたよ?だからあいつの机の中ヤバいよ、多分」



顔には、出してないけどなまえに謝りたい感じだったし。とともだちが優しく頭を撫でながら言った。


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