嘘付いて意地悪 (1/4)
もうなんなんだろう。
別に何をした訳じゃないのにやたらと文句を付けてくるこの人は…
「へっ、だからお前はバカなんだよ」
「若に言われたくないし」
「お前がいつ、俺よりいい点数取ったんだ?」
「はいはい、もうわかったよ」
「これだからバカは」
日吉若…幼稚舎の頃からの知り合い?友達?で、まぁ…よくわからない関係です。
小さい頃は、若に苛められてよく泣いていたのを覚えてる。今となれば慣れてしまった訳だが。
むしろ、最近では苛められると言うか先程も言ったようになにかと文句を付けてくる訳です。
もうね、嫌われてるんじゃないかなと思うくらいに毎日毎日言われてます。若は、黙ってればイケメンだし…ちゃっかり女子から人気もある。
なのにあからさまにあたしにだけ文句を言う辺り…ホントに嫌われてるんじゃないかな…と悲しくなる今日この頃。
そんなあたしだけど実は、若を好きだったりする。理由は、わからない…うん。なんか気付いたら好きになってた感じだね。
たまに…ホントにたまに優しくされたりすると凄い嬉しいし。あぁ、やっぱり好きだなぁ…なんて思ったり。だけどその反面、色々とキツイ事を言われるとかなり凹んだりする。
まぁ、若からしたら大した事ないんだろうけど。
そんな事を考えながら相変わらず、呆れた顔であたしを見つめる若から目を反らして手元にある手紙に目を移す。これは、下駄箱に入っていた。言うなればラブレターというやつである。
「おい、なんだそれ」
「多分、ラブレターかな」
「はぁ?寝言も休み休み言うんだな。自惚れるなよ、不幸の手紙かなんかだろ」
「……………」
「仮にそうだとしても随分と物好きだな」
別に自惚れてなんかないもん。
確かに、顔だって性格だって凄い良い訳じゃないし…そんなの自分が一番よく知ってる。でもなんか若に言われると辛い。
ホントに嫌われてるんだなぁ…。
泣きたくなるのを必死に堪えて手紙を机に押し込んだ。
「…若はさ、あたしが嫌いなんでしょう?だったらもう放っておいてよ」
「は?」
「…目障りなら若の視界に必要以上に入らないし、だから若も授業中も振り返らないでよ」
「お前なに言って…」
「…もう前向いてよ。おやすみ」
もう最悪だ。ホントに最悪だ。
ラブレターを読んだ後って言うのもあるんだろうけど…かなり辛い。本当にあたしが嫌いで興味がないんだとわかってしまったから。
だったらもう若とは話したくない。だってあたしが辛いだけだもん。
そう思いながら泣くのを必死に堪えながら机に突っ伏した。
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