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そして今日もいつも通り授業が終わり、友人達と放課後の教室で下らない事を駄弁ってから帰宅した。
特にやる事もなかったので、適当にスマホを弄りながら夕飯が出来るまでベッドでゴロゴロと過ごしていた。
そしてそろそろ夕飯が出来る頃、珍しく仁王から着信が来て不思議に思いつつ電話に出ると、いつもの公園に来てくれと言うと一方的に切られた。
・・・・・?
まぁ、仁王がこうして唐突に呼び出しをするのは珍しくはないので、スマホと財布を持って家を出た。
どうせ、また新しいイタズラを思い付いただとか丸井を騙すのを手伝ってくれとか下らない事だろうけど。
◇◆◇◆◇
そして少し歩いていつも仁王や丸井と駄弁る時に立ち寄る公園に着くと、ベンチに人影が見えてゆっくりと近付くと座っていた人物が凄い勢いで振り返った。
「なまえせんぱい!」
「えっ…切原くん?」
「えと…俺、なまえせんぱいの連絡先知らなかったんで…仁王先輩に頼んだんッスよ」
「う、うん?」
「どうしてもなまえ先輩に会いたくて…迷惑でした?」
「えっ、いや、それは全然大丈夫だよ。仁王とか丸井によく用もないのに呼び出されるし」
「ならよかったッス!」
そこには、まさか呼び出しの電話をしてきた仁王じゃなく、切原くんがいた。しかも、あたしに用があるのは、切原くんらしい。
それにしても部活終わりにわざわざ来るなんて、相当大事な用事なんだろうな。でも切原くんからあたしに用事って一体なんなんだろう?
そんな事を考えていると切原くんにとりあえず座って下さいよ!と言われたのでお言葉に甘えてベンチへと座った。
「それで、何かあったの?」
「え、あっ…はい。えとっ…その〜」
「ん?」
「こ、これっ!あげるッス!!」
「えっ?」
何故かもじもじ?そわそわ?している切原くんに頭を傾げていると、意を決した様な顔をした切原くんがズイッとビニール袋を差し出して来て、更に頭を傾げた。
けれど、受け取ってくれと言わんばかりにビニール袋を差し出す切原くんにとりあえず袋を受け取るとその拍子に中身が見えてしまい更に頭を混乱する。
・・・え?牛乳?
まさかのビニール袋の中には、牛乳が入っていた。
「えと、これは?」
「た、誕生日…プレゼントッス」
「……ふふ、そっか。ありがと」
「うっ…あ、あの!もう送るッス!こんな時間に呼び出しちゃったし」
「別に大丈夫だよ。そんなに遠くないから」
「ダ、ダメッスよ!はい、行きましょ!」
そして大丈夫だと言っても譲らない切原くんに家まで送って貰い、家でビニール袋の中を改めて確認したら牛乳の他にココアの粉と蜂蜜が入っていてちょっと笑った。
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