ある日、急に決まった合同合宿。
正直、また氷帝の榊監督か跡部の訳のわからん思い付きだろうくらいにしか思っとらんかった。
じゃが、現実は違った。
俺達は、早朝にも関わらずワイワイと騒ぎながらバスに揺られて合宿場へ向かっていたはずじゃった…それがいつの間にか訳のわからん薄汚い教室の様な部屋の床に転がっとった。
それも他の合宿参加者達と一緒にだ。
とりあえず、近くで転がっとる柳生とブンちゃんを揺すり起こす。どうやら、真田と幸村もいるらしく少し遠くから2人の声がして少しだけ安心した。
そして他の目を覚ました奴等も自分の学校の奴等を起こしていた。
「柳生、ブンちゃんっ…起きんしゃい」
「んっ…に、仁王くん?」
「っ…んだよいっ…?」
「お前等っ…!よかった…」
「おぉ、ジャッカル」
ゆっくりと起き上がる柳生に余程眠いのか目を擦りながら不機嫌そうなブンちゃん。
そしてそんな俺等を見付けるなり安堵の表情を浮かべるジャッカル。
どうやら、本当にほとんどの合宿参加者がここにいるらしい。暫くして、幸村・真田・柳・赤也がこちらに来た事によりそれを確信した。
…いや、おかしいぜよ
「璃亜と羽川がいないぜよ」
「てっきり仁王達といるかと思ったんだけど…俺等の近くにはいなかったよ」
「さ、探して来るッス!」
「いや、これだけの人数だ…下手に1人で動くと見失ってしまう」
「でも2人共いないんだろい…?」
「しかし状況が全く読めんな。一体ここはどこなのだ?」
そしてざわつく室内に聞き慣れない声が響いたのは、それから間も無くしてだった。
ドアが開かないと騒いでいた青学の連中にメンバーが足りないと聞き回っている手塚・橘・白石・佐伯…そして俺等は、その聞き慣れない声に動きを止めた。
そしてウィーンとなにかの機械音がしたかと思うと大型モニターが現れる。そしてそこには、見知らぬおっさんが映っていてニタニタと不快な笑みを浮かべていた。
「やぁ、諸君お目覚めかね?」
モニター越しのおっさんが話し出すと同時にドアが突然開き、バタバタとモニターの周りに黒い軍服の様なものを着込んだ大人が10数名現れる。
が、それだけじゃない。
手には常識では考えられない物を持っていた。俺達に向けられていたそれは、どう見ても"銃"…
アニメや漫画の世界でしか見たことがないものじゃった。