…あ、あれ?
あたしは、ゆっくりと起き上がり軽く周りを見渡すと自分が小屋の中にいる事に気付く。
しかもあたしを隠す様に布切れが被せてあり、リュックも壊れた机の下に隠してあった。
確か…あたし、ジローちゃんに会って…それで安心して気を失ったんだっけ?…なら、ジローちゃんは?
・・・っ!?
不意に聞こえた銃声にバッと音の方を向く。そしてリュックから2丁拳銃を取り出してリュックを肩に背負って小屋を飛び出す。
多分、ジローちゃんが戦ってるんだ。あたしが小屋にいるから、小屋から離れて戦ってるんだ。
段々と近付く銃声と複数の足音にデザートイーグルを構えながら、神経を集中させる。そして木の影から鬼を確認して飛び出した。
チラリと確認したジローちゃんは、鎌のみで戦ってたみたいで必死に木の影に隠れながら隙あらば鎌を振っていたみたいだ。
そして扱った事がないが、必死に標準を合わせてデザートイーグルを撃った。
「璃亜ちゃんっ!?」
「っ…ジローちゃんっ!!!」
「…っ!?璃亜ちゃんっ!!」
あたしの奇襲により、1体の鬼は地面に伏せたがもう1体がよろめきながらもあたしに銃口を向けた。
しかしその瞬間、鬼の腕が吹き飛び、銃が暴発したのも束の間…ジローちゃんが止めだと言わんばかりに小型ナイトを首元に降り下ろした。
そしてゆっくりとナイフを抜くとジローちゃんがあたしに向かって走ってくる。
だけどそれよりも先に誰かがあたしの腕を背後から掴み、そのまま捻り上げられて手から銃が落ちる。
「…なっ…っ!?」
「周りの警戒を怠るのはよくないんじゃない?」
「…璃亜ちゃんを放せC」
「うーん、それは出来ない相談だ。それと下手に動くと璃亜ちゃんの事、殺すよ?」
カチャリと頭に銃を押し当てられているのがわかる。そして目の前のジローちゃんは、怒りを露にしているものの…あたしが盾にされていて身動きがとれないでいる。
鬼だけが敵じゃない…か。
顔こそ見てないが声と話し方でなんとなく誰だかわかった。
正直、性格を把握していないから真意はわからないけど…あたしを狙ってるにしては不用心だ。
つまり…
「ジローちゃん逃げて!!」
「…な、なんで?」
「早く!2人で捕まる必要ない!大丈夫だから…行って!!」
「ハハッ、逃がさないよ?」
「…くっ!ジローちゃん早くッ!!」
「・・・っ!」
そして銃口がジローちゃんに向いた瞬間にあたしが暴れたせいで、辛うじてジローちゃんに当たらずに済んだ。
そして泣きそうな顔をしながらジローちゃんは、森の中に消えて行った。