あ、あぁ…なんだろう。
なんか…凄く安心する。
ジローちゃんが血塗れとかそんなの気にならないくらいに、ジローちゃんに…自分の知ってる人に会えた事に安心した。
「…璃亜ちゃん?どうしたの?」
「ご、ごめん…ちょっと安心して…」
「…璃亜ちゃん、俺の事…怖くないの?俺、血塗れだC…」
「ハハッ…飛び付いて来て何を今更。それにあたしも似た様なもんだし…」
ジローちゃんは、きっと素直だからアサシンならアサシンって言いそうだし。あたしに拳銃を向けられてるの突っ込んで来た事を考えたら…きっとアサシンではない。
そして、ゆっくりとあたしを離すと大丈夫?と言わんばかりに顔を覗き込むジローちゃんに力なく笑う。
ヤバい…さっきのもそうだけど…緊張の糸が切れたっぽい。ゆらゆらと霞む視界に必死に意識を保とうとする。
「…くっ…ジ、ジローちゃん…ちょっと…ビンタしてくれない?」
「…えっ?な、なんで?」
「っ…意識飛びそう…なのっ…ここで寝たりしたら…」
「・・・・・」
「…ジ、ジローちゃん?」
「…大丈夫だC。璃亜ちゃんは、俺が絶対守るC。だから…少し休んでて」
そう言いながらニコリと笑うジローちゃんが頭を撫でると同時にあたしは、ゆっくりと意識を手放した。
*****
崩れる様に気を失った璃亜ちゃんをおんぶする。
そして跡部達の会話を思い出す。
「最初にここを出たヤツは、集合場所じゃなく璃亜を探しに行け」
「せやな…映像の璃亜ちゃんを見る限り…はよ見付けんと危ないで」
「きっと羽川を探してるんだろう。あいつは、強いヤツだが…この精神的負担が掛かる状況下だとあいつは一番脆い。早急に見付て、保護しろ」
「…最初にここを出た人だけでいいですか?璃亜さんが倒れたりしたら…」
「仮に璃亜が倒れた時は、近くの小屋にでも籠ってろ。最初に出たヤツ以外が集合場所に集まったら探しに行く。わかったな…テメェ等、絶対に死ぬなよ」
璃亜ちゃんは、俺が絶対に守る。
璃亜ちゃんは、きっと鬼を殺したんだと思う。だって、身体は血で真っ赤なのに顔は、真っ青だったから。
仲間想いの璃亜ちゃんは、きっとみんなを守る為に鬼を殺したんだ。璃亜ちゃんは、そういう子だC。
でも…俺がもう少し早く見付けてあげてれば…璃亜ちゃんは、手を汚さずに済んだのかな。
…俺、璃亜ちゃんやみんなの為なら鬼でもなんでも気にせず殺せるのに。
そんな事を思いながら跡部に言われた通りにここから一番近い小屋へ慎重に向かった。