えっ?どこだここ。
ゆっくりと体を起こし、周りを見渡すが薄暗くてよくわからない。それにどう見てもあたしの見覚えのない部屋で更に訳がわからない。
えーと…あたし達は、合同合宿で合宿場に来てて…確か、なんか赤也が変なゲーム見付けたとかで…あたしの部屋でやろうってなって…ゲームしてたんじゃなかったっけ?
正直、どんなゲームか覚えてないけど。テレビに接続して…いざゲームスタート…したっけ?あれ、やべぇ…マジで覚えてないんだけど。
アレか?安定の寝落ちパターン?いや、でもなんでこんな変な部屋の床に転がされてんだ。酷いじゃないですかー!ていうか、あたしの部屋でゲームやってたのに何故にここに運んだし!
とりあえず、ここにいても意味がないのでゆっくりと立ち上がると何を引き摺るような奇妙な音がして思わず足を止める。
…そしてズルズルと何かを引き摺るような音がだんだんと近付いて来て怖くなり、ゆっくりとしゃがみ込み息を殺した。
えっ…?ドッキリ?なんなの?いじめ?あたし、怖いの苦手だから!やめてくれるかな!?!
しかしそんな願いも空しくズルズルと奇妙な音が近付いて来て、部屋の前でピタリと音が止んだ。
えっ…ちょ、マジで怖い。なにこのホラーゲームさながらの展開。これ、部屋の前になんかいるよね?ズルズルさんいるよね?てか、誰なんだよ!おい、いい加減にしろ!あたし泣くぞ!ドッキリにしては手が込み過ぎだ!バカ野郎!
「璃亜せんぱーい!どこッスかー!?」
「騒ぐな。また追い掛け回されるぞ」
「せやけど、切原の叫び声で合流出来た訳やし。まぁ、変な怪物とセットで最悪やったけど」
っ!?お、おぉ!!
不意に聞こえた赤也の叫び声にバッと顔を上げる。なんか他にも声が聞こえるけど、さすがに聞き取れないから誰だかわからない。だけど、赤也と一緒にいるなら大丈夫だろう。
そして部屋の前にいたであろうズルズルさんが赤也の声に反応したのかまたズルズルと動き出した。
つまり、ズルズルさんが部屋の前から移動して赤也達の方に向かったという事だ。
今がこの部屋を出るチャンスだとバッと立ち上がり急いでドアに向かうと同時に赤也の悲鳴が聞こえてそのまま部屋から飛び出した。
「赤也ぁ!」
「へっ?…っ、璃亜先輩!?」
「なっ…璃亜さん!?」
「ちょ、タイミング悪過ぎやろ」
「……っ!?」
「ちっ、あの部屋にいたのが璃亜さんとなるとこいつの狙いは璃亜さんだ」
赤也の名前を叫びながら部屋から飛び出して最初に目に入ったのは、赤也じゃなくて赤黒い塊だった。
しかもその赤黒い塊は、あたしに気付いたのかズルズルとゆっくりとこちらを振り向き、そのに思わず目を見開いた。