部活を休みにして仁王の部屋で異変が起こるまで、みんなで過ごした。
そして気付いたら、また俺等はいつもと違う不気味な校門前にいた。
「みんないるかい?」
「うむ、全員いるぞ」
「ここに飛ぶのは、7時みたいだな。そして楠木の姿はないか…」
「あ、財前と日吉もいないみたいッス…」
「相変わらず、状況が全くわからんぜよ」
「放送もねぇし。あの化け物もいないみたいだぜぃ」
「とりあえず、今日話した通り…グループで探索するよ。時間の確認は各教室の時計でチェックするしかないから…出来たら9時に部室に集合って事で」
前回と違ってみんな目を覚ました状態でこの場に来れたのは、よかった。だけど、璃亜の姿がなく…財前と日吉の姿もなかった。
だけど、この場にいつまでもいる訳にはいかない。あの化け物がまた現れる可能性もある。
そして今日、またこの場に来る事があれば…と一応話し合いをしといたのでその通りに組んだメンバーとその場から足早に離れた。
◆◇◆◇◆
俺と一緒に行動してるのは、真田だ。蓮二とは違って色々と調べたりするのは苦手だから、俺と真田は主に化け物を観察する役割だ。
もちろん、わざわざ戦うつもりはない。ただ化け物の種類があるみたいだから、それを確認するって感じ。だから動きやすい様に俺等だけ2人組にした。
「真田は、あの化け物達に勝てると思うかい?」
「うむ。正直、あの黒い化け物にはサシでは勝てる気がせん。だが、赤い化け物には勝てるかもしれん」
「戦ったんだっけ?」
「うむ、拳は交えた。だが、やはり素手で出来る事は限られているからな」
「確かに、動きは黒いヤツより遅い気がしたけど…あれに人間が敵うとは思えないよ」
「武器でもあればまた違うかもしれん。それに蓮二が言っていた青い化け物も気になる」
「なんだか種類によって違うみたいだしね」
そんな会話をしつつ、周りを警戒しながら慎重に校舎の中へ入る。
薄暗い廊下は、いつも自分達が通っている学校なのかと不思議に思うくらいに不気味で自然と体が強張る。
それに明かりがないのが辛い。月明かりで真っ暗ではないが、校舎の中なので外より薄暗くかなり視界は悪い。
そんな時だった。
前を歩いていた真田がピタリと足を止めて、俺を腕で止めた。
「・・・足音だ」
「え?」
「近くに化け物がいるな」
「足音だけでわかるの?」
「あぁ、靴の音ではない。ぺたぺたと素足の様な足音だからな」
「…どっち?」
「左側だ」
俺も耳は良い方だけど…さすがに真田には敵わないみたいだ。それに真田は、そういう勘みたいなのもあるみたいだし。なんていうか、気配を感じみたいな。
とりあえず、化け物の動きを見る為に慎重に真田の耳を頼りに廊下を進んだ。