目の前で険しい顔をしたまま携帯を握り締めている赤也にアイスノンを差し出す。
「ほら、冷やしておきな」
「あっ…あざっす…」
「まだ気にしてるのかい?」
「だ、だって…俺が騒いだから…幸村部長まで」
「あれは、夢…じゃないかもしれないけど俺は生きてるだろ?それにあの状態じゃあ混乱するのも仕方ない」
目の前で璃亜と丸井が殺された後、あの化物から逃げ延びた俺はすぐに部室に向かった。その後、すぐに姿を現したのが赤也だった。
だけど、目の前で璃亜と丸井の死を目の当たりにした赤也は酷く取り乱していて俺を見るなり声を張り上げて意味がわからないと真っ青な顔で訴えてきた。
もちろん、俺だってあの状況について何もわからなかったし。目の前で璃亜と丸井が死んだのを信じたくなかった。だけど、不思議と取り乱す赤也を見ていたら冷静になれて、遂には泣き出しそうな赤也を宥めていた。
だけど、それがよくなかったのか…赤也を落ち着かせる事に夢中で周りを気にしてなかった。その結果、璃亜と丸井を殺した黒い化物とは違う赤い化物に見付かり赤也を庇って俺は、死んだ…んだと思う。
「とりあえず、落ち着きな。何もわからないのはみんな同じなんだから」
「は、はいッス…」
そして教室に向かった蓮二達から連絡がるまで、それほど時間は掛からなかった。
席や下駄箱はあるがネームプレートも中身もない状態で璃亜のものだという証拠がないらしい。
だけど、やはり…璃亜を知っている人はいなかった様で璃亜がいない事に教師もなにも言わず、真田からは璃亜の事を聞いたら雨音や佐々木も誰それ?と頭を傾げられたとの事。
その事を赤也に説明するとやっと赤みが引いて来たのに今にも泣き出しそうに顔を歪ませた。
「璃亜先輩…どこに行っちゃったんスか…。なんでっ…みんな璃亜先輩を知らないんスか!」
「・・・・」
「なんで夢の中にいたのに璃亜先輩だけいないんスか…」
「少し調べてみようか」
「え?」
確かに、あの夢にいたはずの璃亜だけがいなくて、いない事になってるのが不思議だ。ましてや、俺等は璃亜を覚えてる訳だし…どうして璃亜だけなんだろう。
とりあえず、携帯を取り出して夢・化物・繰り返される…で検索してみる。
しかし出て来るのは夢占いばかりでやっぱり意味がないのかとスマホから指を離そうとした瞬間、怖い都市伝説という言葉が目に入りそこをタップした。