今日もいつもみたいに三成様のところに遊びっ…いや、様子を見に来たんだけど、
「貴様!何故、そこにいる!?」
「はぁ?刑部にあんたが呼んでるって言われたんだけど」
「なっ…私は、貴様など呼んでいない!」
「あっそ。じゃあ戻るわ」
「い、いや!待て!!貴様、その手に持っている饅頭を置いていけ!!」
「やだ。さいなら〜」
俺が三成様の部屋で声を掛けようとしたら、部屋の中から三成様の声がしたかと思ったら勢いよく部屋の襖が開いた。
そして飛び出して来たのは、ひらひらと独特の忍装に身を包んだ鬼結さんで、俺に気付いたのか薄く目を細めて笑うとぽんぽんと俺の頭を撫でると姿を消した。
相変わらず、不思議な忍だ。
三成様の忍だとは聞いてるけど、なんつーか…忍っぽくないっつーか。いや、あの脚の速さとかは忍っぽいけど…戦ってるとことか見た事ないんだよなぁ。
実際、どんな人なのかいまいち把握してないっつーか。なんでか、三成様にタメ口だし。でも三成様も刑部さんも信用してるみたいだし。
ん〜、やっぱりよくわかんね。
「左近!!」
「え、あっ…はい!なんすか、三成様!!」
「貴様、何故あいつを止めなかった!あの饅頭は、私が秀吉様と半兵衛様の為にと買った物だ!!」
「い、いやいやいや!俺にそんな事を言われても!」
「左近!あいつから饅頭を奪い返して来い!今すぐにだ!!」
「えぇ!?いや、無理っしょ!鬼結さんって忍じゃないッスか!俺、気配とかわかんねーッスよ!」
そして俺の顔を見るなり、また無茶苦茶な事を言い出す三成様に、無理だと手をぶんぶん振りながら断るが、そんな俺の言葉を三成様が聞く訳もなく"いいから行け!"と部屋から追い出された。
いや、まだ部屋に入ってねぇーけど。
ていうか、そんな大事な饅頭を取られるって…どういう状況でそうなったんだっつーの。三成様の事だから、秀吉様と半兵衛様の為にって大切に保管しとくだろうし。
つまり、鬼結さんがそれを探し当てたって事か?いや、あの人…三成様の忍だよな?それっていいのか?主の部屋を漁るって。
いや、まぁ…いっか。とりあえず、駄目元でも鬼結さんを探すか。
何回か三成様や刑部さんといる時に話した事は、あるけど…気付いたらいなくなってたりして、まともに話した事がないんだよなぁ。
あの人、いっつもどこにいんだろ。
- 1 -
BACK | NEXT
TOP