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三成様と刑部さんから鬼結さんについて話を聞いてからというもの、鬼結さんが全然姿を現さない。

もちろん、呼べば来てくれるんだけど…分身しか来ない。だから、事務的な感じで対応されるし…全然まともに話せてない。

鬼結さんの分身に本体の居場所を聞いても、もちろん教えてはくれないし。



「三成様〜、鬼結さんってマジでどこにいるんスか〜?」

「知らん」

「えぇ!?主なのに居場所とか把握してないんスか!?」

「ふん、呼べば来るからな。そもそも、用がないのに鬼結を呼ぶな」

「だ、だってぇ…」

「ああ見えて、あいつは忙しい身だ。無駄に鬼結の手を煩わすのは許可しない」



いや、まぁ…確かに無駄っつーか、ただ話したいだけで呼ぶのはわりぃかなーっとは思ってるけどさぁ。

ていうか、鬼結さんの話を聞いた時から思ってたんだけど、実は三成様って鬼結さんの事かなり好きだよな。

結構どうでもいいみたいな感じで、めちゃくちゃ気にしてるっつーか。

俺が兵法書を届けた時、俺が来たせいで血の補給が出来なかった鬼結さんの為に部屋にわざわざ三成様が行ってるし。

鬼結さんと契約したのは不本意とか言ってたけど、案外満更でもなさそうっつーか。


はぁ…三成様に聞くのは無理ってわかったし。刑部さんにでも聞いてみるかなぁ。

でもその前に、気になるところに行ってみるか。正直、水場とか井戸しか思い浮かばねぇけど…鬼結さん本人から聞いた事だし。

とりあえず、兵法書から目を離さず難しい顔をしている三成様を置いて、井戸に行くついでに鬼結さんの部屋も見に行く事にした。


しかし、井戸にも部屋にも鬼結さんの姿はなく…結局、また振り出しに戻る。


あぁ…もう!水場ってどこだよ!もしかすると、湯殿?いやいや、さすがにそれは不味いっしょ。

ん〜…水、水、水。

そもそも、大阪城ってやたら水場多いし。逆に周りは水だらけっつーか…でも堀にいる気はしねぇっつーか。


じゃあ逆に城から出てみればいいんじゃね?そういえば、近くに誰も近付かない池(?)があった気がする。

自然に出来た水溜まりっていうか、まぁ…普通に大阪城内に池あるし普通の人は行かないっつーか、とりあえず穴場?みたいな場所だと思う。

だからって、鬼結さんがいるとは思えねぇけど。つーか、忍の鬼結さんがやたら城から出てたら色々不味いっしょ。

そんな事を思いつつも、他に思い付く場所もないのでそこへ行ってみる事にした。


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