01*4 




◆◇◆◇◆

*****

左近が三成の元へ向かったのを確認してから、ゆっくりと刑部の元へ下りた。



「われを信用しておらぬか」

「別に。そもそも、口止めしてないし」

「それもそうよな」

「でも左近は、まだ知らなくていいかなって。まぁ、色々と不信がってるくらいがいいと思うし」

「ヒヒッ…ぬしが左近を信用しておらぬという事か」

「いや?そもそも、あたしに信用するとかないし。それは刑部も知ってるでしょ」

「ヒヒッ…はて、どうだったか」



相変わらず、刑部は性格が悪い。まぁ、あたしも人の事は言えないんだけど。

…あーあ。

今までずっと関わらない様にしてあげてたのになぁ。三成って本当に馬鹿だよねぇ。いや、逆に三成だから仕方ないか。

まぁ、仕事は増えるけど…別に嫌じゃないし、いいけどさ。



「ぬしは、左近が気になるか」

「まぁ、ちょっとね」

「ヒヒッ…三成が聞いたら大変ぞ」

「三成より先に死にそうな気がするんだよね」

「ぬしには、何かが見えておるのか」

「いや、ただの勘だよ。ていうか、豊臣軍はみんな死にそうだけどね」

「ヒヒッ…それはやれ困った」



まぁ、それを言ったら今の時代を生きてる奴は、みんな死にそうに見えるんだけどね。

ていうか、秀吉と半兵衛のところに戻らなきゃ。結構、重要な話の途中だったし。

まぁ、別に大した事じゃないってわかってたけど、呼ばれたら来なきゃだしね。



「まぁ、あの笛があれば大丈夫だと思うけど」

「われに寄越したのと同じ物か」

「そう。まぁ、左近が使うかは知らないけど」

「わからぬ、意味もなく使うかも知れぬぞ」

「それはそれで面白いからいいよ。どうせ、三成関係だろうし」

「そもそも、ぬしは呼べば来るのではないのか」

「そりゃあ、近ければね。あ、半兵衛が呼んでるわ。じゃーね」



全く、半兵衛は忍使いが荒いなぁ。いや、まぁ…別に構わないけど。それにあたしは命令されたら、ちゃんと働かなきゃなんないし。

まぁ、三成の命令の場合は内容によるけど。

三成以外からの命令ならそれなりに無理難題を言われても頷くからね、あたし。



「はいはい、呼んだ?」

「話の途中だったからね。それで、何かあったのかい?」

「ん、大した事なかったよ。で、話どこまで進んだ?」

「うむ。お前が戻るまで待っていた」

「あ、そうだったの。ごめんごめん」

「ふふっ、ゆっくりお茶も飲めたし別に構わないよ」



そしてこの緩い扱いである。普通に敬語じゃないのに怒られないのは、色々と事情があるんだけど…まぁ、今は置いておこう。

ま、半兵衛は主でもないのにあたしを全力で使うからね。

秀吉は、まぁ…うん。半兵衛よりはマシだけど、無理難題言い出すからたまに面倒なくらいかな。

そして3人で次の戦についての話し合いを再開した。


※三成の部屋
(み、三成様っ…左近ッス!)
(饅頭はどうした!)
(え、えーと…こ、これ)
(・・・・・・)
(鬼結さんが三成様の分だって…)
(鬼結ーーーっ!!)
(ちょ、三成様!落ち着いて!!)
(落ち着いてなど居られるか!)
(で、でもこれ、めっちゃ美味かったッスよ!)
(・・・なんだと?)
(あっ…)
(貴様左近!この饅頭を食べたのか!)
(い、いや…鬼結さんに口に突っ込まれて)
(貴様ーー!秀吉様と半兵衛様の饅頭を!!)
(ちょ、三成様!マジでたんま!)

- 4 -

BACK | NEXT

TOP