えっ!?どうしりゃいいの!?はいっと差し出された饅頭を見つめて固まる。
いや、だって…これ受け取ったら、確実に三成様に殺されるっしょ!
「そんな顔しなくても、大丈夫だって〜」
「い、いやいやいや!ダメッ…むぐ!?」
「はい、よく噛んで食べるんだよ。で、なんの用だったの?もしかして、用があったのって刑部?」
「いや。それより、太閤と賢人と一緒にいたのであろう?」
「うん。2人と一緒に茶飲んでたんだけど、左近の声がしたから飛んで来た」
・・・・はぁっ!?
ちょ、ちょい待ち!秀吉様と半兵衛様と茶飲んでたって…マジで言ってんの!?この人っ!?いやいや、どんだけ!?
本当に何者!?三成様ですら、あの2人と一緒にだなんて畏れ多いって、いつも茶菓子を渡しに行くだけなのに。
しかもその最中に呼ばれたって、秀吉様と半兵衛様を置いて飛び出して来るってヤバいっしょ!…あれ?でも呼んだの俺じゃね?
「左近、顔色悪いけど大丈夫?」
「だ、大丈夫じゃないッスよ!早く、秀吉様と半兵衛様のところに戻って下さい!」
「んっ?」
「やれ、そう騒ぐな。鬼結の事なら、太閤も賢人も気にしておらぬ」
「ど、どういう事ッスか?」
「ははっ、そっかそっか。あの2人は、三成みたいに器が小さい人間じゃないから大丈夫だよ」
何がなんだかわからない俺に大丈夫だからと笑う鬼結さんだったが、その目はどこか冷めていた。
三成様とは、長い付き合いだとは聞いていたけど…まさか秀吉様や半兵衛様とも付き合いが長いのか?
いや、それでも忍が主を差し置いて…秀吉様や半兵衛様と一緒にいるのはやべぇんじゃねぇのか。
「あ、これ三成の分ね。左近から渡しといて」
「えっ、あ…はい」
「ヒヒッ…何も知らぬ者には優しいものよ」
「…なーに、刑部?」
「いや、ただの独り言よ」
「ん〜、じゃあ左近にはこれあげるよ。何かあればそれで呼んでくれればいいから」
"三成に何かされそうになったりしたら呼んでいいからね〜"と呆然としている俺に小さな笛を握らせると"じゃっ!"とその場から姿を消した。
・・・・・。
いやいやいや!!じゃっ…じゃなくて!ていうか、普通に饅頭受け取っちゃったし。いや、無理矢理持たされた感じだけど!
とりあえず、鬼結さんについて色々と刑部さんに聞こうとしたが、良いように話を流されて…結局、よくわからないまま三成様に饅頭を届けに部屋へと向かった。
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