あれから、鬼結さんを探し回ってるんだけどさぁ。全然!見付かんねぇんだけど!!
マジであの人、どこにいんだよ!いや、忍だから忍んでて当たり前なんだけど!それにしても見付から無さ過ぎだって!
色んな人に聞いても、"さぁ…?"って頭傾げられるし!さすがにもう諦めてもいいんじゃね?
「あぁ、もう!マジでどこに行ったんだし!!」
「…やれ、何を騒いでいる」
「あ、刑部さん!!いいところに!」
「われに何用か?」
「鬼結さん見ませんでした!?さっきから探してるんスけど、全然見付からないっつーか…」
「ほぅ…鬼結を?」
そして、たまたま通り掛かった刑部さんに事情を説明すると"ヒヒッ…"といつもの様に笑った。
いや、俺からしたら笑い事じゃないんスよ!このままだと、三成様に怒られるし!いや、正直なんで俺が怒られるのか意味わかんねぇけど!
そもそも、なんで三成様は自分で追い掛けなかったんだって話だよなぁ。ていうか、自分の忍なのに…。
「やれ、簡単な事よ。ぬしが名前を呼べばすぐにでも現れる」
「へっ?」
「あやつは、三成の命には素直に応じぬが…われやぬしは違うでな」
「???」
「ヒヒッ…物は試し。名前を呼んでみるがよい」
「鬼結さんの?」
いまいち刑部さんの言っている意味がわからず、頭を傾げる。
名前を呼べば来るって…三成様じゃあるまいし、主でもない俺が呼んだところで来る訳ないと思うんだけど。
ていうか、今サラッと凄い事言ったよな!?三成様の命に素直に応じないって、忍としてどうなの!?ていうか、本当に三成様の忍なのかも怪しい。
でも、まぁ…別に名前を呼ぶくらいなら支障はないし、刑部さんが言うように物は試しで呼んでみるか…。
「…っ、鬼結さーん!!どこにいるんスっ…」
「なーに、呼んだ〜?」
「うわぁっ!?」
俺が叫び終わる前にぶらんっと目の前に逆さまにぶら下がりながら現れた鬼結さんに思わず、後ずさる。
出て来方が忍って言うより、完全にいたずらっ子の域なんだけど!
しかもなんか饅頭食べてるっ!!あれ?それって…三成様が言ってた饅頭じゃねっ!?
「そ、その饅頭っ…!!」
「あ、これ?左近も食べる?美味しいよ」
「いやいやいや!それ三成様のっ!!」
「三成の物はあたしの物だから。あ、刑部も食べる?」
「ヒヒッ…では、貰おう」
「ちょ、刑部さん!?」
そしてさも当たり前の様に刑部さんに饅頭を渡す鬼結さんと、それを受け取る刑部さんに更に混乱する。
いやいやいや!刑部さんもなに普通に饅頭貰ってんスか!俺の話聞いてたはずッスよね!?
だけど、そんなのお構い無しと言わんばかりに鬼結さんは、俺にも饅頭を差し出した。
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