05*3 



◆◇◆◇◆

*****

・・・なんだかなぁ。

別に嫌な訳じゃないけど、調子狂うなぁ。

その上、会いたくもない奴に会うとか本当についてない。



「なーに?武田の偵察?」

「別に」

「ん?あれ、いつもみたいに攻撃して来ないの?」

「なに?死にたいなら殺してあげるけど」

「ちょちょちょ!待って待って!」

「ていうか、あんたこそ何してんの。あたしの気配で来た訳じゃないでしょ」



武田領土の近くで佐助に会ってしまった。いつもなら息の根を止める勢いで、攻撃をするんだけど…今日は気分が乗らない。

だけど、相変わらずヘラヘラと薄っぺらい笑みを浮かべている佐助を見たら、少しだけ冷静になって来た。

そして佐助に向かって仕込みクナイを放って、その瞬間に背後を取った。



「これで佐助はまた死んだね。本当に学習しないね」

「っ、でも鬼結は殺さないだろ?」

「・・・・・」

「鬼結は、かすがとはまた違う甘さの持ち主だからね」

「殺す必要がないからだけど?命があれば、佐助でも殺すよ」

「だから、武田においでって。血なら俺があげるし。どう?」

「あんたは、何回断ったら諦める訳?別に三成に不満はないから」



そしてもはや、何度目かわからない問いに真面目に答えるのも面倒臭いので、ゆっくりと佐助の拘束を解いて離れる。

そもそも、佐助がいれば事足りてるだろうに。ていうか、あたしが武田に行ったらあんたの仕事がなくなるだけじゃないの。

・・・はぁ。
かすがも同じ様な事言うし。
あんた達には大切な主がいるんだから、あたしなんかに構わなくていいのに。



「鬼結?」

「なに」

「石田の旦那の様子は、どうよ?」

「さぁ?あたしが話さないのを知ってるくせに、いちいち聞かないでよ」

「かすがとは違ってその辺もしっかりしてて、本当に心配になるよ…お前は」

「忍が主の事をペラペラ話す方がおかしいんだけど?」



いくら、昔からの知り合いだからってそれとこれとは話が別だ。一応、三成は主だからね。三成の不利になる事は、話さないのが当たり前。

まぁ、その程度で討たれるなら三成もそこまでだったって事だけど。

ていうか、佐助もかすがも…あたしだからって変に気を緩め過ぎなんだよね。まぁ、佐助はそれなりに忍として自分の立場を理解してるから、深追いはしないけど。

かすがは、性格的に忍には向いてないからなぁ。

・・・でも、嫌いになれないから佐助もかすがも顔を合わせても、殺そうとは思わないんだよね。

もちろん、必要ならば殺さなきゃならないけど。


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