チクリとした痛みと共に体の力が抜けていく様な妙な感覚に襲われ、思わず女の頭を掴むが思う様に力が入らず…クスクスと女が首元で笑った。
「ふふっ…痛くはないでしょ?むしろ、気持ちいいんじゃないかな」
「き、貴様っ…」
「それにしても、なかなか可愛い反応をするね。ますます、気に入ったよ」
「くっ…やめ、…っ!」
「っん、君の名前は?」
チクリと痛んだ首元から全身にゾクゾクとした感覚が駆け巡り、思う様に言葉を紡ぐ事が出来ない。
それに気付いたのか、やっと女がゆっくりと顔を上げた。しかし、体に力が入らず情けなくもそのまま膝を付いてしまった。
そんな私の頭をわしゃわしゃと撫でるとグイッと顎を掴み無理矢理目線を合わせると、血が滲む唇を舐めるとニコリと笑った。
「あたしは、鬼結」
「くっ…い、石田三成だ」
「ふふっ、じゃあこれからよろしくね?三成。そこの君は?」
「…われは、大谷吉継。刑部で構わぬ」
「わかった、刑部ね。それにしても不満そうだね。そんなに契約したかった?」
「なに、三成よりわれの方がぬしを上手く扱えると思うただけよ」
「ははっ、だからやめたんだよ。でも、あたしの気分次第だけど命令さえしてくれたらなんでもやる、よっ!はい、外れ〜」
呑気に刑部と会話しているそいつに拾った長刀で斬り掛かるがあっさりと避けられる。
くっ…殺してやるっ!
そもそも、私を主とするならばもっと下手に出ろ。忍の分際で私の名前を呼ぶなどと!
そんな事を思いながら、何度も斬り掛かるが私の刃がこいつを捉える事はなく、むしろ掠める事すらなかった。
「まぁ、あたしとしてはいつでも殺しに掛かって来て構わないんだけど〜。それだと面倒だし、あたしと殺り合うのは月1って決めようか」
「ほぅ、なるほど」
「ちなみに血の要求は毎日じゃないから安心してね。あたしが極度に疲れたり、怪我をしない限りは要らないから」
「そんな事は聞いていない!!」
「えぇ?あたしなりに譲歩してあげてるのに。あたしは別に毎日でもいいんだよ?だけど、三成が貧血になったら困るかなって思って、控えてあげたのに」
「そもそも、血を欲する理由はなんだっ!!」
そして淡々と事を進めていくこいつに苛立ちながらも、血を欲する理由を聞くと女は赤い瞳を細めると、あたしが鬼だから。とだけ言った。
その後、刑部の話により…こいつが人間の血を吸う事で鬼の力を解放出来るという事を知った。
それに加えて、血を吸うだけでどんな傷も癒えるらしい。
そしてその日から鬼結との生活が始まった。もちろん、私は不本意だが。
※城にて
(おや…その子は誰だい?)
(は、半兵衛様っ!!)
(どうも、鬼結です)
(き、貴様!半兵衛様にっ…!)
(ちょっと三成うるさい)
(…賢人よ、こやつはあの鬼忍よ)
(…へぇ、本当なら凄いじゃないか)
(それが本当なんですよ〜)
(ふふっ、三成くん。彼女を借りてもいいかい?)
(えっ…はっ!貴様、半兵衛様に迷惑を掛けるな)
(はいはい、わかってるよ)
(じゃあ着いて来てくれるかい)
(はい、仰せの通りに〜)
(貴様!その舐めた態度をやめろ!)
(ふふっ、気にしてないからいいよ)
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