04*3 




自分は、抜け忍で今は主を探していると…まぁ、そこまでは、理解は出来た。



「だけど、あたしは普通の忍と違って忍だけど忍じゃないんだよね」

「ほぅ…ぬしは特殊な血族か」

「ふふっ、鬼忍って聞いた事ないかな?」

「…鬼忍?」

「まぁ、知らないかな。隠れ里だし、それにあたしが全滅させたしね」

「…ほぅ。まさか実在するとは知らなんだ」



聞き慣れない"鬼忍"という言葉に私とは裏腹に刑部は聞き覚えがあるらしく、珍しく興味津々といった様子で声色が変わった。

それに全滅させたとは…つまり、こいつは抜け忍だと言っていたがそれを咎める者もいないという事か。

しかし…さっきからこいつから抜け出そうとしているが、ビクともしない。クソッ…どう見ても女なのに、どんな力で押さえ付けているんだ。



「…やれ、聞いた話だと人の血を欲すると聞いたが」

「ふふっ、そうだよ。だから、この子の血をちょうだいって事」

「なっ…貴様っ!」

「その代わりにあたしが君の大事にしてる人を守ってあげるよ。そうだなぁ…君があたしを殺せるくらいまで強くなるまで、ね?」

「っ!貴様…なんぞにぃ!!」

「ははっ、死に急ぐのはやめなよ。今の君じゃ、あたしに触れる事すら出来ない」



必死に体を捩り腕に力を入れ、起き上がろうとするがそれ以上の力で私の頭を地面へと押し付ける。

認めたくはないが、今の私ではこの状況を打破出来る力はないと嫌でもわからせる。

しかし、こんな奴の言いなりになるのは癪だ。故に、こいつと契約等と、



「やれ、契約するのはわれでは駄目か」

「そうだね。君は物分かりが良い分、面白味に欠けるし。それに君じゃ駄目なんだ」

「・・・・・」

「さっき言った通り、あたしを殺せば契約は解除される。そうなったら君は、一生あたしに負け続けるでしょ?」

「・・・やれ、三成。今のぬしとわれには、こやつと契約を結ぶ以外に選択肢はない様だ」

「ははっ、やっぱり君は物分かりが良いね。それに頭の回転も速いみたいだし、気に入ったよ」



そんな事を言いながらケラケラと笑うと、"それで君の答えは?"とグイッと首根っこを掴まれて無理矢理目線を合わせられた。

そいつの目は血の様に真っ赤で、ニヤリと笑う口元には鋭い牙のようなものが見えた。

・・・・・。



「…いつか、貴様を殺してやるっ!」

「ははっ、それは楽しみだ。じゃあ…契約成立って事で味見させてね」

「なっ…き、貴様っ!っ…!」



そう言いながら、嬉しそうに目を細めて笑うと…間髪入れずに私の首に噛み付いたのだった。


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