あの後、暫く自分の部屋で呆然としていると不意に声を掛けられて、ビクリと肩が跳ねた。
声で判断する余裕がなかったが、ゆっくりと振り向くとその声の主が誰だかすぐに影でわかった。
「ぎょ、刑部さんっ!」
「ほぅ…その様子を察するに見たのだろう?」
「は、はいッス。しかも、鬼結さんにバレたっつーか…」
「なに、鬼結は忍な上に勘が鋭い。気付かれるのはわかりきっていた事よ」
「えっ…えぇ!?」
まさかの刑部さんの言葉に思わず声を荒げちまった。
いや、だって!気配を消して近付けば、気付かれる事はないみたいな事言ってたじゃん!
ていうか、刑部さん絶対に楽しんでるよね!?なんかめっちゃ笑ってるし!
・・・・・・。
てか、さっき鬼結さんが刑部さんか三成様に聞いてみるといいって言ってたし、ここは聞くしかないっしょ。
「あ、あのっ…鬼結さんについて教えてくんないッスか?鬼結さんが刑部さんか三成様に聞けって」
「やれ、そう急くな」
「あ、でも三成様に許可貰ってないッスけど…大丈夫なんスか?」
「まぁ、問題なかろう。ヒヒッ…直に来る」
「えっ…?」
「さこーーーんっ!!」
いざ、刑部さんに鬼結さんについて聞こうかと思ったら部屋の外から三成様の声が聞こえて、思わず背筋がピンっと伸びた。
そして勢い良く戸が開けられ、いつも以上に顔色が悪い三成様が現れた。
いやいやいや!顔こわっ!!これは、めっちゃ怒ってる!俺が覗き見してたの完全にバレてる!!
「す、すんません!マジすんません!!!」
「やれ、三成よ。これでは話が進まぬ」
「くっ…まぁいい。それでどこまで見た」
「えっ…あぁ、鬼結さんが三成様に抱き付いてるっつーか…なんつーか、」
「ヒヒッ…つまり、一通り見たのであろう?」
「ま、まぁ…そうなんスかね?」
正直、どこからどこまでを見たって説明していいかわからないっつーか。
ていうか、なんで三成様そんなに怒ってんの!?やっぱり見られたくなかったって感じ?いや、まぁ…そりゃあ見せる様な事じゃないとは思うけど。でも刑部さんは、知ってたみたいだし。
そもそも秘密にしてんだったら、事前にあの部屋に近寄るな〜とか鬼結さんに近寄るな〜とか言ってくれればよかったのに。
刑部さんに至っては、見に行け的なノリだったけど。
とりあえず、思う事はたくさんあったけど…三成様が嫌々といった様子で鬼結さんについて話し始めたので静かに聞いた。
- 1 -
BACK | NEXT
TOP