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えっ、なにがどうした訳!?
三成様に頼まれてた兵法書を見付けたから、届けに来たんだけど…これ一体どういう状況!?
何故か三成様は無防備に寝転んでるし、傍らにいる刑部さんは何故か三成様の長刀を持ってるし。
そんな事を思ってたら、三成様がゆっくりと起き上がり…その姿を見て思わず目を見開いた。
「なっ…み、三成様!血、血が出てるッスよ!?」
「あぁ…なに、私のではない」
「えっ!?」
「やれ、三成どうする」
「・・・・・」
「えっ?えっ?何があったんスか?」
本気でこの状況がわからないっつーか…なんで三成様は、機嫌悪そうに俺を睨んでるんだ?むしろ、頼まれてた兵法書を持ってきたのに!
ていうか、なんで三成様は血塗れな訳!?え、まさか敵襲とか!?いやいやいや、でも長刀は刑部さんが持ってるし。
え、じゃあなんで三成様は血塗れなんだ?色々とおかしくね!?
「…左近、なんの用だ」
「えっ、いや…三成様が探して来いって言った兵法書を見付けたんで持って来たんスけど」
「そうか」
「えーと…俺、なんかしちゃった感じッスか?」
「ふんっ、別になんでもない」
「いやいやいや!その血はなんなんスか?どう考えてもなんかあったスよね!」
あからさまに機嫌が悪そうな三成様は、俺から兵法書を受け取ると何もなかったかの様にゆっくりと立ち上がり部屋から出ようとする。
だけど、そんな三成様を刑部さんが溜め息を吐きながら数珠で止めると長刀を三成様に渡した。
しかし、それを受け取ると三成様は何故かそのまま部屋を出て行ってしまって、三成様の部屋に刑部さんと2人になる。
「え、えっと…刑部さん。三成様、なんかあったんスか?」
「ヒヒッ…気になるか?」
「そ、そりゃあ気になるッスけど…なんか三成様の様子も変だったし」
「ならば、井戸から一番近き部屋に行くがよい」
「へ?」
「百聞は一見に如かずと云うであろう。それを見て、ぬしがどう思うかは知らぬがな…ヒヒッ」
"ぬしがゆっくりと気配を消して近付けば、そうそう気付かれる事はないとは思うが即刻離れる事を薦めよう…"と意味深な事を言うと輿でゆっくりと去って行った。
え?結局のところ、何も教えてくんないの!?
・・・えぇ、でも気になる。
それに井戸近くの部屋って…特に誰かの部屋とかじゃなかった気がするし…かといって、特別な部屋でもなかったと思う。
いや、でも…言われたからには気になるっつーか。
とりあえず、刑部さんに言われた通りにゆっくりと気配を消して井戸近くの部屋に向かった。
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