三成の部屋を覗くと中には刑部がいた。まぁ、左近がいないだけマシか。
とりあえず、さっさと済ませて寝よう。今日は本当に疲れてるからね、あたし。
スタッと音もなく部屋に降りると三成と刑部がゆっくりとあたしの方を向いた。
「鬼結、帰っ…貴様それはどうした!」
「見ての通りだけど。ほら、さっさと寄越せよ」
「ヒヒッ…これはまた珍しい」
「私は貴様に怪我をしていいとは許可していない!故に私にっ…お、おい!!」
「やれ、三成。諦めろ」
「・・・つかれた」
どうにもこうにも、三成の顔を見たら一気に疲れが襲ってきた。ていうか、なんかもうなんでもいいから早くちょうだいって感じだ。
ギャーギャーと騒がしい三成を無視して力ずくで押し倒すとやれやれと刑部の笑い声が聞こえた気がした。
まぁ、刑部からしたら見慣れた光景だしね。あたしも今更、隠す気もないから別に構わない。
とりあえず、三成の長刀は奪っとかないとね。いつもなら気にしないけど、今日は抵抗されるのは面倒だ。
「なっ…き、貴様!!」
「・・・・・」
「ヒヒッ…われが預かろう」
「刑部っ!!」
「あぁ、もう…暴れないでよ。すぐ終わらせるから、ね?」
「くっ…さっさとしろ!!」
そう言うと顔を反らして大人しくなる三成に思わず笑う。なんだかんだで、三成はあたしを受け入れちゃうんだもんなぁ。
そしてゆっくりと馬乗りになったまま、三成の首元をはだけさせると男とは思えない白く細い首が露になる。
相変わらず、細いなぁ。
そんな事を思いながら、ゆっくりと顔を近付ける…
が、よく知っている気配がいつの間にかすぐそこまで近付いている事に気付き、急いで三成の上から退けて部屋から去った。
「三成様ぁー!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「えっ…あれ?なにしてんスか?」
「やれ、困った。間の悪い奴よな」
「えっ!?俺がなんかしたッスか!?」
・・・危なかった。
もう少し気付くのが遅かったら、左近に見られるところだった。とりあえず、ここから離れよう。
それにしても獲物を目の前で没収された気分だ。
ざわざわとする体を鎮める様にゆっくりと深呼吸をしてから、自分の部屋へと向かった。
面倒だけど、着替えだけしとこう。本当なら治してから着替えたかったけど、この際仕方がない。
そして適当に自分で手当てをしてから着替えた。
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