…あぁ、疲れた。
いつもの事だけど、本当に半兵衛は忍使いが荒いなぁ。まぁ、別に大した事じゃないからいいけどさ。
ちゃちゃっと首級を半兵衛の元へと持っていって、早く寝たい。ていうか、今回は数が多い上に連戦だったせいでいつもの様に無傷とはいかなかったし。
はぁ〜…守りながら戦うのも大変だよね。まぁ、守り切れずに死んだ兵には悪いけど。
最小限って言われてただけで、無死とは言われてないから仕方ない。ていうか、あの数相手に無死とか無理だしね。
「帰った」
「あぁ、御苦労様。どうだったかい?」
「言われてたより数が残ってたよ。でも、まぁ…全員殺したけど」
「それは、悪かったね。さすがの君でも無傷とはいかなかったみたいだしね」
「だから、三成んとこ行ってくる」
「・・・やはり、僕じゃ駄目なのかい?」
せっかく持ち帰った首級を確認もせず、兵法書を読み耽っていた半兵衛がゆっくりと顔を上げると真っ直ぐとあたしを見つめた。
・・・その眼、やめて。
こんな、血生臭い奴に向ける眼じゃない。
それに半兵衛の命令も聞くが、あたしは元々三成の忍なのを半兵衛はよく理解してるはずなのに、たまにこうして無理を言い出す。
「駄目って言うか、そういう条件でここにいるからね。あたし」
「三成くんじゃないと駄目な理由は、まだ教えてはくれないんだろう?」
「それ、前に言ったよね。ただ、三成がよかったからって」
「・・・そうだったね」
「ま、早く着替えたいし戻るよ。何かあれば分身置いてくけど」
「いや、いいよ。僕が話したいのは分身の君じゃなくて、鬼結だからね」
そう言いながら目を伏せる半兵衛に、あたしは何も言わずにその場を去った。
あたしが半兵衛の命令を拒否した事は、ほとんどない。
なのになんでわざわざ、あたしを自分の忍にしたがるのかがわからない。まぁ、こき使いたいだけかもしれないけど。
それでもあたしとの契約には条件がある訳で、それを受け入れるにはちょっと理由が軽い気がする。
こき使いたいだけなら他の忍でもいいだろうに。まぁ、あたし以上の働きをする奴は色んな意味でなかなかいないだろうけどさ。
使える忍は、大体もうどっかに仕えてるし。
あぁ…なんか余計な事を考えたせいで傷が疼いてきた。
なんか今日は手加減出来るか不安だし、やめとくかな。
そんな事を思いながらも三成の部屋を目指した。
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