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あの日を境に俺は、鬼結さんと話す機会が増えた。まぁ、大体は俺から話し掛けてるっつーか…俺が鬼結さんを呼び出してるだけなんだけど。

でも最近は、三成様といると高確率で鬼結さんが来る気がする。



「三成様〜!たまには、俺と一緒に城下に行きましょうよ〜!!」

「ふんっ…私にそんな暇などない」

「じゃあ、あたしと行く〜?」

「わっ!?鬼結さん!」

「さっき、半兵衛にお使い頼まれてさ〜。城下に行くなら、一緒に行く?」

「えっ…いいんスか!?」

「いいよいいよ。だから三成なんか置いて、一緒に城下で美味しい物でも食べて来よっか」



暇って言ったら怒られるけど、やる事がない俺は部屋に籠りっぱなしの三成様を連れて城下にでも行こうかと、断られるのを覚悟で誘った。

が、予想通り断れた。

まぁ、三成様はあんまり外出しないしなぁ〜…とか思っていたら音も立てずに鬼結さんが現れてニコリと笑いながら、一緒に行く?と言ってくれた。

半兵衛様のお使いってのがちょっと引っ掛かるっつーか、かなり気になるけど…こりゃ行くしかないっしょ!



「貴様!半兵衛様のお使いを迅速に済ませるのが最優先だ!!」

「はぁ?三成には関係ありませーん。頼まれたのはあたしだし、別に急ぎじゃないって言ってたし」

「くっ…!貴様になど任せておけるか!!お使いは私が済ませっ…」

「左近、行くよ〜!」

「待て!鬼結、貴様!!半兵衛様から何を頼まれたのか言え!!」



そしていつもの様に三成様を無視する鬼結さんは、いたずらっ子の様な笑みを浮かべると、俺の手を引いて三成様の部屋から逃げる様に飛び出した。

それにしても…本当に三成様には冷たいっつーか、相手にしてないっつーか。

まぁ、刑部さん曰くそれが普通らしいから、俺が突っ込むのも無駄っぽいし。

むしろ、俺の手を引いてひょいひょいと前を走る鬼結さんの楽しそうな顔を見てたら、別にいいかな〜とか思ったり。


そんな事を考えてたら、急に鬼結さんがはい!跳ぶよ〜!と言うとグイッと腕を引かれて、そのまま塀を飛び越えた。

い、いやいやいや!!いくら忍だからって…俺を引っ張り上げるってどんだけ!?


そんな事を考えてる間にスタッと塀を飛び越え、着地すると鬼結さんが"じゃあ行こっか!"と目を細めて笑った。


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