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素直に送られろ (1/4)


正直、みょうじが楽しそうに泳いでるのは俺としても嬉しい。それに水中での運動等に関して素人の俺達に手取り足取り教えてくれるのも助かるが…もう少し距離感を考えて欲しい。



「あー、もう少し腰落として下さい。腕は、真っ直ぐ上げたままにして…はい、そのままキープです」

「け、結構きっつ…」

「あ、腕下げないで下さいよ。向日さんのメニュー増えたらあたしがまた泳げないじゃないですか!頑張って下さい!」

「応援の仕方な!それお前が泳ぎたいだけじゃねぇか!」

「え、そうですよ?なので、早いところメニュー終わらせて下さい!はい、また腰上がってますよ!落として下さい!」

「うがっ…ちょ、なにすんだよ!」

「はい、あたしが腕持って上げてますから腰落として下さい!」



…あいつは、自分が泳ぐ為ならなんでもする気らしい。

どうにもプール練に馴れない向日さんは、レギュラーの中でダントツでメニューをこなすのが遅かった。

そんな向日さんに今日は、みょうじが付きっきりでサポートしている。ちなみに他の水泳部の先輩達は宍戸さんと鳳と一緒に何故かメニュー後に競争をしたりと随分と楽しそうだ。



「違いますよ、こうです!もう少し腰を落として…腕はこの位置で」

「お、おう…」

「あ、そうです!向日さんなら慣れれば何分でもキープ出来る様になると思うんで頑張って下さい」



後ろから向日さんに抱き付くように腕を回して一生懸命、手取り足取り教えているみょうじに対してまるで集中出来ていない向日さんにイライラする。

いや、あれはどっちかというと向日さんが被害者になるのか?だが、それにしても向日さんも近い等と注意しないのが気に食わない。

まぁ、顔を赤くさせてる時点でお察しだがな。

そしてやっと向日さんのメニューが終わり、休憩になるとみょうじが待っていたと言わんばかりに泳ぎだす。



「岳人、お疲れさん。なんや、今日はヤケに遅かったやんか」

「みょうじがわりぃ!あいつ、普通に近いんだよ!むにって…あぁ!もう集中出来るか!」

「せやなぁ…お嬢ちゃん、スタイルええしなぁ。ちゅーか、普通に羨ましいわ」

「お前なぁ〜…あぁ、クソクソ!こっちの気も知らねぇで気持ち良さそうに泳ぎやがって!」

「あんなに嬉しそうに泳いで、可愛えやんけ。まぁ、完全に俺等無視やけどな」



正直、みょうじが水泳バカなのはわかっていたが…まさか先輩達に全く興味を示さないとは思わなかった。多少なりと可愛く見せるとか態度を改めると思ったが、そんな事はなかった。

それが良いのか悪いのか…何故か跡部部長に気に入られた様でみょうじは無駄に跡部部長に水泳で勝負を挑まれている。

ちなみに今のところ跡部部長の惨敗である。まぁ、みょうじが速過ぎるだけだが。


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