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ただ会いたかった (1/3)


切原達のお節介のお蔭でなんだかんだでなまえから連絡が来るようになって…前と同じように寝るまで電話に付き合う様になった。

たまに切原とか財前が茶化しに来たけど、なまえが仲が良いね!なんて笑ってたから特に気にしなかった。

後、財前が無駄にアキラに爆ぜろって連呼してたからそれはやめる様に言っといた。


そして遂に合同合宿は無事に終わって、不動峰に帰って来たんだけど…何故か門になまえがしゃがんでて思わず目を見開いた。

それはアキラもだったらしく、アキラがえっ?なまえ?と声を掛けるとバッとなまえが顔をあげると同時に立ち上がり、嬉しそうに笑った。

…あぁ、アキラの帰りが待ち遠しくて迎えに来たのか。

相変わらず、アキラアキラで腹立つけど…まぁ、なまえが嬉しそうだし…いいっ



「…っ、深司!!」

「っ、…な、なに?え、どうしたの…」

「…会いたかった」



急に何かが当たったかと思ったら何がどうしてそうなったのかわからないけど…なまえが俺に飛び付いて来て咄嗟に受け止めた。

なんかアキラが凄い顔してこっち見てるけど、正直それどころじゃないんだけど。

…え?本当にどうしたの。

ぎゅーっと俺に抱き付くなまえにさすがの俺も意味がわからなくて焦る。



「え、ちょ…なまえ?なに、どうしたの?」

「……………」

「…え、アキラならあっちにいるけど」

「…あたしは、アキラじゃなくて深司に会いたかったの!」

「…そんなに寂しかった?」

「うん…いっつも深司が一緒にいてくれたのにいないんだもん」



え、ごめん…ちょっと嬉しくてヤバいんだけど。

…なにこの展開。

とりあえず、ぎゅーっと俺に抱き付いたままのなまえの頭を撫でるとゆっくりとなまえが顔をあげた。

ちょ…なにその顔っ…

なまえは、俺を真っ赤な顔で恥ずかしそうに笑いながら見上げていた。



「た、橘さん…俺、先に帰ります」

「ふっ、そうだな。気を付けて帰れよ」

「…ありがとうございます」

「え、ちょ…深司!?え、てか…なまえと…えっ!?」

「…なまえ…行くよ」



あぁ…もうっ、なんなの。

軽く橘さんに頭を下げてからなまえの手を握って足早に校門を出た。

なんかアキラが騒いでた気がするけど…今はどうでもよくて、ぎゅっと手を握り返して大人しく俺の後を付いて来てるなまえの事で頭がいっぱいだった。


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