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09*キミとかくれんぼ(1/4)


…眠いナリ。

全国大会が終わり、夏休み最後のイベントといっても過言ではない二泊三日の旅行当日。

早起きが得意ではない俺はまだ覚めない頭で、荷物の受け取りをしている運転手に荷物を渡してバスへと乗り込む。

もちろん、ギリギリで来た訳じゃなか。それでも、かなりの人数が既に席に座っているところを見ると…今年はやっぱり参加人数が多いんじゃろうな。



「仁王ー、こっちだぜぃ」

「あれは、まだ頭が起きてない顔ですね」

「ふふ、朝苦手だもんね」

「ていうか、半分寝てんじゃねぇのか?」

「まぁ、既に寝てる者もいるしな」

「仁王は、これで目を覚ましそうだけどね」



とりあえず、朝から元気なブンちゃんの声が物凄く不快じゃが、席を取っといてくれた事には感謝せんとな。

そしてブンちゃん達がいる後部席に着くと、そこにはいるはずのない人物が幸せそうに寝ていて、思わず手持ちのバッグを落とした。



「ふふふ、目覚めた?」

「お、おう…不本意じゃが、ばっちりな」

「では、仁王くんはこちらにどうぞ」

「え、いやっ…ちゅーか、なんでここにみょうじがいるんじゃ」

「バスに乗る前にみょうじさんを見付けたから、一緒に座らない? って言ったら"うん、いいよ〜"って付いて来てくれたんだよね」

「まぁ、座った瞬間に寝たがな」



手持ちバッグを両腕で抱っこしながら、窓に寄り掛かって寝ているみょうじはそれはもう幸せそうに寝ている。

いや、確かに幸村に誘われたら断らないだろうが…こんなむさ苦しい男ばっかりな席になんの躊躇もなく来たあげく、即行で寝るってどうなんじゃ。

そんな事を思っていると、早く座りなよと言わんばかりに幸村にみょうじの隣に座らせられた。

いや、目は覚めたが…頭が働いとらん。



「…ん、あれ〜におうくん」

「え、あっ、すまん。起こしたか」

「ん〜、おはよ〜」

「お、おう。おはよう」

「うん、おはよ〜」

「ふふっ…なにこの愉快な会話。笑い堪えるの辛い」

「幸村くんが楽しそうで何よりだろぃ」

「ブン太、お前も十分楽しそうだけどな」



とりあえず、そこで笑いを堪えてる幸村とブンちゃんは後で覚えときんしゃい。

そして眠たそうな目で俺を見上げるみょうじが不思議そうに頭を傾げる。

近い、近い、近い。
とりあえず、なんだかよくわからんが…近い!! ていうか、普通に狭いんじゃが!

しかし、そんなのお構い無しと言った様子の幸村達にもう諦めるしかなかった。


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