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08*キミとかくれんぼ(1/4)


今日は、遂に全国大会…決勝戦じゃ。

コンディションは、良い。
負ける気はしない。

それに観客席に視線を移せば、きょろきょろと不思議そうに周りを見渡しているみょうじの姿。

まさか、1人で来るとは思わんかったが…約束通り観に来てくれたみたいじゃ。



「へぇ、本当にみょうじ来たんだな」

「あ、本当ッスね! ていうか、なんか私服だと雰囲気変わって可愛いッスね」

「そうか? 見た目が変わっても中身はみょうじだしなぁ」

「失礼ですよ、丸井くん」

「いや、だってよ…挨拶しに来たと思ったら、仁王と柳生と幸村くんと柳にしか挨拶しなかったじゃん?」

「ただ名前知らんだけじゃろ。真田は、おらんかったし」

「俺への当て付けやめろよ」



相変わらず、みょうじへの不満を溢しているブンちゃんをいつも通りに流しつつ、静かに気合いを入れる。

別にみょうじがいるからって訳じゃないが、やはり良いところを見せたいと思ってしまうのは…そういう事なんじゃろう。

まぁ、今更…自分の気持ちを否定する気はないが。



「つーか、あいつテニスのルールとか知らねぇんじゃねぇの?」

「別に試合観るだけなら、ルール知らなくてもいいんじゃねぇのか?」

「わかってねぇなぁ。あのみょうじだぜぃ? こっちが点取られた時に"やったー!"とか言い出したらどうすんだよぃ」

「いや…さすがにそれはないだろ」

「そもそも、みょうじさんはとても頭が良いんですよ。なので、テニスのルールくらい知っていそうですが」



・・・確かに。
最初こそブンちゃんに同意し掛けたが、よくよく考えたらみょうじは馬鹿じゃない。

むしろ、頭は良いし。ある意味、頭の回転も早い。仮にルールを知らなくても、試合を観ている内に理解しそうじゃ。

つまり、ブンちゃんがバカなんじゃな。まぁ、それは知っとるんじゃが。



「ふふふ、いい感じにリラックスしてるね」

「もっと気合いを入れんか!!」

「まぁ、下手に緊張し過ぎるよりはいいだろう」

「緊張ってよりは、早く試合したくて仕方ねぇッスよ!!」

「ふふふ、期待してるよ」



ん、気合いは十分。
相手に不足なし。
後は、勝つだけじゃ。

というか、いつもよりピリピリしている真田よりも、ここまでいつも通りの幸村の方が怖いんじゃが。

赤也やブンちゃんみたいにテンションが高い訳でもないしのぅ。まぁ、それを言ったら俺や柳生もかなり落ち着いとるがな。

内心、ちょっと緊張しとるが。


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