×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

07*キミとかくれんぼ(1/4)


あれからみょうじとは、特に問題もなく仲良くしとる。

強いて言えば、仲良くしとるだけで特に進展していないのが少し不満だが、いまいち距離の詰め方がわからん。

それに全国大会まで1週間を切ったとあって、部活に集中しちょるせいか…正直、余裕がない。



「あぁ〜ねみぃ〜」

「まぁ、最近は特に朝練がキツいからな」

「だからと言って、寝ながら食べるのは如何なものかと…」

「ブンちゃんは燃費悪いから仕方ないナリ」

「いや、仁王は食わな過ぎだけどな。また放課後、バテるぞ」



と、まぁ…元からハードな朝練が更にハードになったせいで、俺は食欲減退中で…正直、調子は頗る悪い。

それに加えて、放課後の部活もいつもより遅くまでやっちょるし。結構、しんどい。

だからと言って、サボったりする気はないんじゃがな。


「あ、ほんとにいたー」


そんな事を考えながら、味もよくわからない菓子パンを意地で口に運んでいると、屋上のドアが開いた。

そして、ひょっこりと顔を出したのはヘラリと笑うみょうじだった。



「なっ…みょうじ? こんなところに来てどうしたんじゃ?」

「これ、におーくんに!」

「えっ、なんじゃこれ?」

「幸村くんがね、におーくんが最近すっごく疲れてる〜って言ってたから、元気が出る様にお弁当作ったの」

「・・・みょうじ、が?」

「ご飯食べれてないって聞いたから、におーくんが好きなものばっかりにしたよ!」



"はい、どうぞ!"といつもと変わらない笑顔で小さな包みを渡すみょうじに一瞬、思考が止まった。

え、はっ? みょうじが俺の為にわざわざ弁当を? いや、いくら幸村の差し金とはいえ…朝から弁当を作るって大変なんじゃないんか。

そして再度、みょうじを見上げれば包みを差し出したまま不思議そうに頭を傾げていた。



「んー、要らなかったかな?」

「えっ、いや…そうじゃっ」

「お、要らねぇなら俺にくれぃ」

「おい、ブン太は黙ってろって…」

「赤い人にはあげないよ? これは、におーくんのお弁当だもん」



相変わらず空気を読まないブンちゃんにピシャリと言い放つみょうじに、自然と頬が緩む。

本当に俺の為に作って来てくれたんか。正直、まだ色々と聞きたい事はあるが…ここは素直に受け取ろう。ましてや、みょうじが作ってくれたって言うなら尚更じゃ。

ゆっくりとみょうじから弁当を受け取ると、みょうじはヘラリと笑うとそのまま手を振って屋上から去って行った。

あ、別にみょうじも一緒に食べるとかじゃないんか。


prev|next

[戻る]