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11*空に恋した向日葵(1/4)


やっと放送室に着いたは、いいけど…どうやら中で説教をされている様で暫く待っていると怒られたせいかしゅんとした顔をした芥川くんが放送室から出て来た。



「あ、芥川くん」

「っ!…え、なまえちゃん?」

「ちゃんと話したいって…言ってたから」

「っ…ごめんね」

「えっ…あ、な、泣かないで!?えと…ここだと目立つし、うーん…こ、こっち!」



さすがにここで泣かれるのは困る。いや、ここじゃなくても泣かれるのは困るんだけど…

芥川くんの腕を掴んで近くの教室に入り、ゆっくりとドアを閉めた。

とりあえず、溢れる涙を必死に拭っている芥川くんに何だか本当に子供みたいだなぁ…なんて呑気な事を思った。



「なまえちゃんっ…」

「う、うん?」

「…っ嫌いにならないで」

「…えっ?」

「っ…俺、全然なまえちゃんの事考えてあげられてないC…。ファンクラブとか女の子達も話聞いてくれなくて…っ」



…なんだろう。なんか不思議な感じだ。芥川くんは、なんていうか…基本的に自由だったし。

言い方は悪いけど自己中心的と言うか、自分の思った事を貫く感じだったから…あたしの事を考えてくれていたという事にちょっと驚きだ。

それに嫌いにならないでってどういう事だろう。確かに、怖い思いはしたし…正直、色々と芥川くんには困らされたけど…嫌いという事はない。



「…俺、なまえちゃんと仲良くしたい。ファンもお世話してくれる女の子もいらないから…俺、頑張るからっ」

「ちょ、ちょっと…待って!」

「なまえちゃんが嫌だって言うなら、何でもちゃんとやめるC…!だから」

「あ、芥川くん…」

「っ、嫌いにならないで…!」



その後も必死にあたしに嫌いにならないでと訴える芥川くんに驚きつつ、ゆっくりと泣いている芥川くんの頭に恐る恐る触れる。

見た目通り、ふわふわとした髪を軽く頭を撫でると芥川くんがゆっくりと顔を上げた。

うわぁ…。

芥川くんが大きな瞳からぽろぽろと涙を流しながら、驚いた様な顔をしてあたしを見つめて来て撫でる手を止めた。



「嫌いになったりしないから…ね?もう泣かないで」

「ほ、ほんと…?」

「うん」

「っ、ありがと…」

「な、泣かないでっ!」

「俺、なまえちゃん…が、怖いって…言うなら話し掛けたりしない様に頑張るから」



そして、芥川くんはゴシゴシと豪快に涙を拭うと、眉を下げたまま悲しそうに笑いながらそう言った。


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