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10*空に恋した向日葵(1/4)


うぅ…眠い。
だけど、寝ちゃダメだ。

ちゃんと、なまえちゃんに謝らなくちゃ。

いつもならギリギリまで朝練をしてるみんなを横目にコートで寝てるんだけど、今日は下駄箱でなまえちゃんが来るのを待ってる。

教室で言えばいいとも思ったんだけど…早く謝りたくて、待ってる事にした。

そして何度も寝そうになりつつも、なまえちゃんが来るまで寝ずにいられた。

なまえちゃんは、浅香ともう1人の友達と何か話してるみたいで俺に気付いてなかった。だから、下駄箱の前までなまえちゃんが来るのを待ってから声を掛けた。



「っ、なまえちゃん…!」

「えっ…あ、芥川くん?」

「っ!ちょっと!どの面下げでなまえの前にっ…」

「こら、ともだち!」

「うっ…き、昨日はいきなりビンタして悪かったよ。でも許してないから!」



俺がいた事にビックリしてる様子のなまえちゃんだったけど、それより先に浅香がすぐになまえちゃんを守る様に前に出て来た。

かと、思ったら何故か謝られてこっちがビックリした。

確かに、叩かれた頬っぺたは痛かったけど…今はその事はどうでもいい。



「なまえちゃんっ…あ、あのね」

「う、うん?どうしたの?」

「ごめんなさい」

「…えっ…あ、うん。大丈夫だよ」

「俺、なまえちゃんが怖いって言うから…話し掛けるの我慢してただけで…なまえちゃんが酷い事されるなんて思ってなくて」

「ううん、あたしの言い方も悪かったし。怪我もしてないし、大丈夫だよ」



昨日、必死に考えた言葉とは全然違うどころか、なんて言えばいいかわからなくなって…自分でも何を言ってるのかわからない。

だけど、だからそんな顔しないで?とすまなそうに笑うなまえちゃんに泣きそうになる。

本当なら浅香みたいに俺が悪いって、あんたのせいだってビンタくらいしたっていいのに。

なまえちゃんの優しさに嬉しいやら辛いやらで、思わずうつ向いたまま黙ってしまう。



「とりあえず!謝って済むなら私だってこんな怒ってないから!!」

「ともだちは怒り過ぎ。下駄箱も無事だったし、もう大丈夫だって」

「全然大丈夫じゃないよ!ねぇ、芥川」

「…な、に?」

「あんたの行動次第じゃ、私は日吉を推すし。金輪際、あんたをなまえに近付けさせないから」

「…わかってるC」



浅香は、フンッ!と俺を睨み付けると俺の返事が聞こえたのか、聞いてないのかわからないけど…意味がわかってないなまえちゃんともう1人の友達を連れてさっさと行ってしまった。

浅香は、本気だ。

あのギャラリーの中で臆する事なくビンタするくらいだし。俺となまえちゃんがクラスが一緒だろうと関係なく俺をなまえちゃんから離すと思う。

・・・そんなの嫌だC。


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